その肩こり、じつは首こりかもしれません

肩こりと首こりの見分け方、ご存知ですか?肩周りの凝りはすべて「肩こり」と考える方が多いのですが・・・実は肩の凝りと首の凝りは全く違います。

本当は首がこっているのに肩こりだと勘違いしてケアに通い、長い間症状に悩まされたという方も少なくありません。今回は肩こりと首こりの違いを見ていき、それぞれの凝りの見分け方をご紹介します。

そもそも「肩こり」と「首こり」の境目とは何でしょうか?「肩こり」の要因は肩周辺の筋肉の緊張です。同じ姿勢が続いていると、肩周りの血流が悪くなり、肩の筋肉が固まってしまうことが原因で発生します。

一方の「首こり」は、下向きに長時間固定されるなど首の姿勢の悪さが原因で起こる凝りのこと。肩周りと違い、首周りには交感神経・副交感神経はじめ多くの神経が通っています。そのためここが凝りによって圧迫されることで、大後頭神経による緊張型頭痛や、副交感神経の異常によるうつ症状やめまい、動悸、慢性疲労、冷え・のぼせ、機能性胃腸症、物が飲み込みにくい(嚥下障害)、睡眠障害など、自律神経失調特有の数々の症状発症につながるリスクを孕んでいます。

肩こりがひどく、何をしても一時しのぎにしかならず、すぐに元に戻ってしまう方も少なくありません。実は・・・東京脳神経センターに来院される患者さんにも多く見られますが、その根本的な原因が「首こり」だった、ということも多々あります。

ではどのように肩こりと首こりを見分ければいいのでしょうか?前述の通り、首こりは神経系に影響しますので、自律神経失調特有の症状が出ているのであれば首こりを疑ってみてください。(30問の問診表で5つ以上の該当者)ただし重篤な脳神経の疾患ではないことを検査によって確かめた上で、ということが大切ですので医療機関でしっかりと診断して判断することが大前提となります。

脳神経全般の病気を診ている東京脳神経センターでは、頭痛やめまいなど脳の疾患同様の症状を持つ首こりも診ています。なぜなら首こり(肩こり)が悪化すると自律神経異常による神経症状を発症します。これを「頚性神経筋症候群(けいせい しんけいきん しょうこうぐん)と言います。

さて、首こりの診断には画像診断と自律神経の検査をします。原因不明の体調不良、諸症状(不定愁訴)に長年お悩みの患者さんの多くに見られるのはストレートネックです。ストレートネックは首の筋肉の緊張によって首の湾曲が伸ばされてしまった状態です。

そのため、首こりの治療によって首の筋肉が緩むにつれて、首の湾曲が元通りになる方も見られます。

その治療方法は副交感神経(視床下部への影響含む)に悪影響を及ぼしている首の筋肉を緩めるために、34か所の触診ポイントによって医師が低周波治療をはじめとした治療ポイントや強弱を指示して治療することになります。 ところでこの首こりの治療と並行してとても大切なことは、日常生活での首のケア。首を冷やさない、長時間下向きに首を固定しない(スマホ首)。首の筋肉を適時緩めてリラックスさせる。力を入れて首を揉まない。そして温める・・・こうしたことに気を使って過ごすことで、症状の改善効果は期待できるはずです。

以下の記事で、首こりについて説明しています。
■首こり(不定愁訴)は、なぜ女性に多いのか?
■<首こり(首こり病)のおもな症状とは> “首こり”から頭痛、めまい、うつ、自律神経失調症が発症する。
■首こり・自律神経失調症よりも危険なケース
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