自律神経失調症と首こり(首の筋肉)

自律神経失調症は治療の決め手がない?

相反する作用を持つ交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、自律神経が変調をきたすと、動悸、めまい、息切れ、手足の冷え、全身倦怠感、頭痛、頭重、肩こり、不眠、イライラ感など、さまざまな症状が現れてきます。

通常の検査をしても、体にはこれといった異常は見当たらない。このような状態を、ひとまず「自律神経失調症」と呼んでいるわけです。

自律神経のはたらきを司っている中枢は、脳の視床下部ということろにあります。この部位には、不安、恐怖、怒り、快・不快などの情動の中枢もあるため、自律神経は感情の影響を受けやすいのです。

緊張すると、動悸が速くなり、トイレに行きたくなるのは誰もが経験していることでしょう。また気持ちが落ち込んだりしたときには、食欲がなくなったり、夜眠れなくなったりします。これは不安や緊張などの感情によって自律神経が大きく影響を受けたことによります。

これまで自律神経失調症の治療は、一般的に、自律神経調整薬などの薬、食事や睡眠などの生活指導、リラックス法、心理療法などが行われていますが、どれも十分な効果が得られなかったのが現状です。

そのために、自律神経失調の症状である不定愁訴をたくさん抱えた多くの患者さんが大病院の外来をワンダリング(病院を渡り歩く)しています。

こうした中、松井医師は、自律神経失調が首の筋肉の異常で起きることを発見し、研究の結果、現在では特定ポイント34か所を突き止め、首の特定ポイントを治療することで自律神経失調症は治療することができるようになりました。

この研究論文(英文)は、2020年1月14日に国際医学ジャーナルである「ヨーロピアン・スパイン・ジャーナル」に、掲載されています(英文)。
◆Cervical muscle diseases are associated with indefinite and various symptoms in the whole body

またその研究内容を元に「メディカルトリビューン健康百科」に記事が掲載されています。
◆不定愁訴治療の鍵は首の筋肉の緊張緩和

このように、首の筋肉のこり(首こり/肩こり)が自律神経に影響を及ぼすことが、自律神経失調症の大きな原因のひとつになっているという発見で、自律神経失調症の治療は大きく一歩前進しました。

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自律神経失調症とはどのような病気なのですか?

自律神経で体の自動調節が保たれています。

私たちの神経系は、大きく中枢神経系と末梢神経系とに分けられます。
中枢神経は、脳と脊椎から成り立っていて、脳は頭蓋骨に納まり、脊椎は脳から垂れ下がるような形で頚椎の中を通っています。

末梢神経は脳や脊椎に発し体の各部に及んでいる神経で、大きく分けると、体性神経と自律神経の2種類があります。

体性神経はおもに筋肉や骨格に分布し、体の各部の運動機能や感覚機能をつかさどっています。例えば手足を動かす、話をする、食事をするといった筋肉や骨を動かすときや、痛みや、冷・熱感などを脳に伝えるときに働きます。別名「動物神経」とも呼ばれている神経です。

一方、自律神経はおもに内臓や血管、分泌腺などに分布し、消化や呼吸、循環、代謝といった、生命を営んでいくうえで必要な生理機能を調節しており、自分の意思とは無関係に働く神経です。

たとえば動悸がしたり、胃や腸の運動や消化液の分泌量を決めるのも、この自律神経のはたらきによるもので、別名「植物神経」とも呼ばれています。

自律神経はさらにその役割として「交感神経」と「副交感神経」の2種類に分けることができます。交感神経はおもに昼間の活動的なときにはたらく神経で、緊張しているときや危険を感じたとき、興奮したときなどにはたらき、心拍数や血圧を上げ、呼吸数を増やし、血管を収縮させ、目の瞳孔を開き、胃腸のはたらきを抑制したりしています。

これに対し、副交感神経はリラックスしているときや、寝ているときなどにはたらく神経で、交感神経とちょうど反対の役割を果たします。

私たちが意思の力で汗を出したり、心拍を速めたりはできません。これらは自律神経が環境に応じて身体の機能を自動的に調節しており、交感神経と副交感神経がバランスよくはたらくことで、私たちの健康と生命は支えられています。そして、このバランスが崩れた状態が自律神経失調症です。

首の筋肉の異常で起こる自律神経失調症は、常に交感神経が強く、副交感神経が弱い状態になります。ただ、自律神経については十分に解明されているわけではありません。首こりの視床下部(内分泌や自律機能の調節を行う総合中枢)への関与についても研究途上です。

運動神経より、自律神経のほうが重要であることは、誰もが認めているところです。運動神経がはたらかなくなっても、手足が麻痺する程度ですが、自律神経は生命に関わるような重大な問題が起こります。

自律神経については、今でもわからないことが多かったので、これを専門にする医師も少なかったのです。解剖によっても、まだ正確にはわかっていません。

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(C)東京脳神経センター

不定愁訴( 自律神経失調症 )は、 なぜ女性に多いのか?

女性は首の筋肉が弱い。

頭の重さは男女でそれほど違いはありません。そのため、男性に比べて首の筋肉の量が少ない女性は、頭を支えているのが大変で、どうしても首の筋肉にこりを招きやすくなります。これが「首こり」のリスクです。

とりわけ、首が細くて長く、なで肩の女性は、見た目はとてもスマートで優雅に感じられるのですが、一方では首に大きな負担がかかっています。

さて、頚椎は7つの骨が重なってできています。通常、レントゲン検査で側面から頚部を撮ると、筋肉の発達している男性なら、筋肉に覆われているので、上からだいたい5つの頚椎までしか見えません。

しかし、ほとんどの女性では7つの頚椎全てが見えます。女性で肩と首の筋肉の弱い人は、7つの頚椎のほかに、さらに、胸椎の上から3つの骨が、なかには4つの骨が見える人もいます。一般的に、筋肉が細いのが女性の運動器の特徴ですが、首にもあてはまります。

女性(上画像)の中にはこのように首・肩の筋肉が弱いため、第3胸椎まで見える人がいます。このような方は、頚性神経筋症候群のリスクが高いと言えます(上から10個の脊椎が見えています)。男性(下画像)で筋肉が発達している人は、この半分の5つしか見えません(写真では6番目の頚椎まで見えています)。

こうしたことから、首こり病は、美人病と言いかえることもできそうです。つまり筋肉量の少ない細い首・・・竹久夢二の絵にある長く細い首の女性。首の細い、モデル体型の方が“首こり”になりやすい、という意味です。しかし近頃は若い男性の首こり患者も多く、その多くが筋肉量少なめの細身の男性です。

さて、頭の重量は、成人でおよそ6~7キログラムです。これはボーリングの13オンスのボールに匹敵する重さです。この、ずっしりとした重い頭を、前後左右に動かし支えているのが、首の筋肉と頚椎です。

しかし、前傾姿勢などで長時間、首を下向きに固定し続けたり、首を酷使していると、首にこりが生じます。これが「首こり」あるいは「スマホ首」と呼ばれるものです。こうして首のひとつひとつの筋肉が硬直して硬くなってくると、自律神経に影響が出て、不定愁訴( 自律神経失調症 )の原因となります。

働く女性の職場環境にも影響する

それでは、次に職場の環境に目を向けてみましょう。

職場の室温(電車なども)は、スーツ姿でちょうどいい温度に設定されているところがまだまだ多いのではないでしょうか。また、夏場、クールビズが施行されていて、薄着になっているところに、エアコンの冷気が当たります。

男性はクールビズでノーネクタイではありますが、ワイシャツの襟で首は守られています。しかし女性は襟なしのスタイルで、首をむき出しにしている人がとても多く、男性に比べて多くの女性の首はまったくの無防備状態です。

人の体で、いつも外気に触れているのは顔と首ですが、首は冷やすと自律神経失調の異常を起こします。顔は冷えても、問題を起こすことはほとんどありません。だからこそ、無防備な首にスカーフなどを巻いて冷やさないことが大切です。

首の筋肉は風邪とも密接な関係があります。首を冷やすと、昔から“万病の元”と言われている風邪をひきやすくなります。

女性がオフィスで、よくひざ掛けや腰にショールを巻いている姿を見かけます。本当は首や肩も冷気から守っていただきたいものです。首の冷えは血行を悪くしてこりを定着させてしまいます。

今やパソコンのないオフィスは考えられません。しかし、パソコンに一日中向かっていると、首や肩、腕の疲れから頭痛を訴えたり、目の痛み、閃光を覚えたりといった複合症状を起こすことがあります。これを放置しておくと、首のこり(首こり)が不定愁訴の原因となりますので、早めに対処するようにしましょう。

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