首こり・自律神経失調症よりも危険なケース

今回は、首こり・自律神経失調症と同じような症状についてです。

つい先日の事です。慢性疲労、ふらつき、頭痛、痺れなどの症状を伴う患者さんが「自律神経失調・首こりでは・・・」と来院されました。

ところがその方は、MRIの画像診断の結果、脳腫瘍が発見されたのです。このため、担当した脳神経外科医によって次の処置のための手続きが、すぐにその場で手配されました。

ご本人は、首こり病・自律神経失調と思っていたところが脳腫瘍という結果に、20代前半のその方は深刻な表情で医師からの説明を聞いていました。

視覚の異常、頭痛、ふらつきは、首こりだけでなく、脳腫瘍や脳梗塞、脳出血などでも起こります。この方のように、なんだかおかしい・・・もしかしたら首こり・自律神経異常では?・・・そう感じて東京脳神経センターを診察された方で、検査の結果、首こりではない“脳の病気を早期発見”できた、というケースは少なくありません。

検査もせずに、先入観だけで自律神経失調だと決めつけず、その症状の原因はどこにあるのか・・・そのための診察・検査をしっかりとおこないます。

さて、脳腫瘍とは、脳内にできた良性または悪性の増殖組織のことで、頭痛やふらふら感(めまいまたは平衡感覚異常)、うつ症状、集中力低下など、首こり病(自律神経失調)に似たような症状が起こります。

脳には生命維持機能の領域があり、さらに閉鎖された頭蓋内でもあるため、膨張するにしたがって重篤な症状を引き起こすことがあります。

脳腫瘍による頭痛の場合、月日と共に頭痛頻度が頻繁になり、やがては常に続くようになります。横になると頭痛が悪化することも多く、睡眠中に頭痛で眼が覚めるというケースも見られます。

また脳腫瘍の初期症状では、精神症状として、抑うつ、気分障害、不安感、思考力低下などが突然起こることがあります。これは認知症にも似ている症状で、ご家族が早期認知症(MCI)を心配して本人を診察に連れてくるケースも見られます。

別の記事で、天野医師が「情報過多シンドロームによるオーバーフロー認知症」に警鐘をならしていることをご紹介しましたが、身体検査、脳波測定など脳の検査、MRIなど脳の画像診断、MMSEなどのスクリーニング検査を実施して、その原因がほんとうに認知症なのか、それとも上記のような別の原因が隠れているのかをしっかりと突き止めます。

頭痛、めまい、うつ・気分障害などの症状には、この患者さんのように、首こり病や自律神経失調とは別の原因が隠されていることも少なくありませんので注意してください。

<首こり(首こり病)のおもな症状とは> “首こり”から頭痛、めまい、うつ、自律神経失調症が発症する。

【首こりから不定愁訴へ】
首の筋肉を酷使したり、首にムチウチなどの外傷を受けたりすると、首こりが発生します。

この首こりが、首の中にある神経や血管に悪影響を与えるため、頭痛、めまい、うつ、自律神経失調などの症状が出やすくなります。

自律神経の調子が悪くなると、安静にしていても動悸がしたり、血圧が不安定になったりします。微熱、胃腸障害、ドライアイなども起こります。

また体中がだるくなる、吐き気をもよおす、汗が異常に出る、なんとなく目が見えずらくなる、瞳孔が大きくなって明るいところでも瞳孔が綴じなくなる(まぶしい)、天気が悪くなりはじめると体全体が不調になる、手足が冷え、頭がのぼせて顔が熱くなる、胸が痛くなったり圧迫されたようになる・・・などの症状があらわれます。

これらは、いわゆる「不定愁訴」と言われるもので、以前の“「首こり」症状のチェックポイント解説”記事でご紹介した問診表も、こうした首こり病特有の症状から組み立てています。

その問診表の項目が、首こりによってあらわれる主な症状と言ってもいいかもしれません。

この“首こり”がさらに悪くなると、首の筋肉の異常が原因の「頚性うつ」、「パニック症候群」、「慢性疲労(または慢性疲労症候群)」などの重い症状が出てくる場合があります。


【首の筋肉の異常を治すと・・・】

こうしたさまざまな症状の関連は、これまでの医学ではきちんと理解されていませんでした。

しかし、首の筋肉の異常を治すことで、多くの場合、これらの症状が消えるという臨床的な事実が明らかになりました。

ただし、このような症状は、すべて自律神経失調症、首こり病だとは限りません。下記のような危険なケースもありますので注意が必要です。
■首こり・自律神経失調症よりも危険なケース

【関連記事】
■「首こり」でうつを発症!? それが「首から“うつ”(頚性うつ)」
■ 自律神経の機能を検査する 自律神経ドックを開始しました。

その最新の研究結果として、以前にもご紹介しましたが東京脳神経センターの研究チームによる複数の研究論文(英文)が下記の国際医学ジャーナルに採用されています。もしお時間がございましたら翻訳サイトで日本語に変換してお読みいただければと思います。
◆2020年1月:European Spine Journal
◆2019年6月:BMC Musculoskeletal Disorders

なぜ、首が重要なのか? <首には筋肉と神経が複雑に絡み合っている>

■首の上半分には神経が集中している
“首こり博士”松井孝嘉医師は、首の筋肉のこりを治すことで、原因のわからなかった、さまざまな症状が消えることを発見しましたが、その明確なメカニズムについてはまだわかっていません。

治療法が先に見つかった、と言ってもいいでしょう。このようなことは医学では珍しいことではありません。

まず、首がとても大切な部位であることをご説明したいと思います。

首は細く、日常生活や思わぬ外傷で最もトラブルの発生しやすい部位です。にもかかわらず、これまでは、首の筋肉に起因する病気はないとされてきました。医学での盲点でした。

首には、筋肉と神経が複雑に入り組み、そこに、脳に栄養を送る太い血管が通っています。

首の上半分には神経や血管が集中しています。首の筋肉に異常なこりが発生すると、自律神経に悪影響が出て、さまざまな不定愁訴が発生します。しかし自律神経については、まだ完全には解明されていません。

■首の上部は“脳”の一部

首の上部は、神経の中枢センターである脳の一部と言っても過言ではありません。そのため異常が起きるとたくさんの症状が発症するのです。

しかし、現代医学は首の重要性の認識が甘く、不当に軽視しています。

残念ながら、患者さんの不快な症状が首の異常からきていると診断できる医師は、まだほとんどいないのが現状です。

自律神経の状態を判定する30問問診表はこちら

<問診表の問診項目の解説-その1>
どこに行っても治らなかった病気が首で治せる 「首こり」症状のチェックポイント解説-1

<問診表の問診項目の解説-その2>
どこに行っても治らなかった病気が首で治せる 「首こり」症状のチェックポイント解説-2

どこに行っても治らなかった病気が首で治せる 「首こり」症状のチェックポイント解説-2

今回は問診と症状との関係性についてのお話、その2となります。

問診表は、患者さんの訴える症状が、首疲労からきているものなのかどうかを見極めるためのものです。首こり病(自律神経異常)の問診表には30項目あるのですが、それぞれの項目について、前回に引き続いてご説明させていただきます。1回目では問診表の1~3まで解説させていただきました。

2回目の今回は、問診表の4から解説させていただきます。問診表の項目については前回の記事、あるいは東京脳神経センターの問診表をご覧ください。 それでは、問診表の症状チェックポイント解説その2に入りたいと思います。

【首こり度 問診表の症状チェックポイント解説-2】
4:  風邪をひきやすい。風邪気味のことが多い。
これは、首の筋肉の異常により、自律神経のバランスが崩れるために出る症状と考えられます。すぐに体調を崩す方は、この項目をカウントしてください。

5:  めまいがある。天井・外界がまわった。
6:  ふわふわ感。ふらふら感。なんとなく不安定。

めまいの原因が首こりの場合
・天井がぐるぐるまわる
・奈落に引き込まれるような感覚がある
・いつも船に乗っているようにふらふらする
・地面が揺れているようだ
などのタイプのめまいがあらわれます。病院でメニエール症候群などと診断される人も多いようです。

7:  吐き気がある。食欲不振。胃痛不快感。飲み込みにくい。
内科検診を受けても異常が見つからない場合は、首こり病からくる吐き気である可能性があります。

8:  夜、寝つきが悪い。目覚めることが多い。
首の痛みで寝つきが悪くなったり、睡眠中に痛みで目が覚めたりすることがある人は、この項目をカウントしてください。

9:  血圧が不安定である。血圧が200前後になる。
10: 暖かいところ、寒いところに長くいられない。

これらも、自律神経の異常によって起こります。首こりの場合、血圧が高い時と低い時の上下幅が大きくなりすぎることが多くあります。また、暖かいところにいると気分が悪くなったり、寒いところから暖かいところに行くと顔が赤くなってなかなか戻らないという場合もあります。

11: 汗が出やすい。汗が出にくい。
普通にしていても汗がだらだら出てくるような人は、この項目をカウントしてください。夜間に何度も下着を替える人もいます。

12: 静かにしているのに心臓がドキドキする。急に脈が速くなる。
「動悸(どうき)」「心悸亢進(しんきこうしん)」とよばれる症状で、自律神経の異常が原因です。体を動かしているわけでも、心臓が悪いわけでもないのに急に脈が速くなるようなら、首こり病の可能性があります。

13: 目が見えにくい。像がぼやける。
14: 目が疲れやすい。目が痛い。
15: まぶしい。目を開けていられない。

首の筋肉を傷めることで自律神経に異常が起き、瞳孔が開きっぱなしになるために出てくる症状です。

16: 目が乾燥する。涙が出すぎる。
17: 口が乾く、つばが出ない。つばが多い。

目薬をさして目を休めても「ドライアイ」の症状が良くならない場合、首の治療で完治する可能性があります。涙が出すぎる人もいます。また、つばが出すぎたり、出なくて口の中が乾燥する人もいます。

18: 微熱が出る。その原因が不明である。(37度台、38度台になる場合も含む)
慢性的に微熱があるのに、血液検査などあらゆる検査を受けても異常がない場合、首の異常が原因であることがあります。

19: 下痢をしやすい。便秘・腹痛などの胃腸症状がある。
胃腸の働きを司っているのも自律神経です。自律神経の異常から胃腸が正常に機能しなくなり、これらの症状が出ることがあります。

20: すぐ横になりたくなる。昼間から横になっている。
これは、首こり病の最大の特徴です。首の筋肉が疲労して頭を支えられなくなっているため、横になって首を頭の重みから解放するとラクになるためです。

21: 疲れやすい(全身倦怠)。全身がだるい。
首こり病で自律神経の失調が起こると、体中の調節機能の働きが悪くなり、その結果、全身に倦怠感が生じます。

22: 何もする気が起きない。意欲、気力がない。
24: 気分が落ち込む。気が滅入る。
25: ひとつのことに集中できない。
26: わけもなく不安だ。いつも不安感がある。
27: イライラしている。焦燥感がある。
28: 根気がなく、仕事や勉強を続けられない

比較的軽度の25、27、28を放置していると、22、24、26などの重い症状に発展することが多いようです。「認知症では・・・」と心配している人も、首こり病の場合があります。

23: 天候悪化の前日、症状が強くなる。天気予報がよく当たる。
これは、気圧が筋肉の状態に影響するために起こると考えられます。気圧が下がり始めると症状が悪化し、雨が降って気圧が低いときでも、気圧が一定であれば症状の悪化は止まることが多いのです。

29: 頭がのぼせる。手足が冷たい。しびれる。
「冷え性」は、自律神経の失調による典型的な症状です。上半身には「ほてり」や「のぼせ」があるというケースも多く見られます。

30: 胸部が痛い。胸部圧迫感がある。胸がしびれる。
心臓に異常がないのに、こうした症状が見られる場合、首の異常が原因であることが多くあります。「喉がつまっているような感覚がある」という患者さんもおられます。

みなさんは、前回と今回の問診表で、いくつ当てはまったでしょうか?
こうした原因不明の体調不良は不定愁訴と呼ばれているものです。もしも5項目以上当てはまった人は、首の筋肉の異常により起こる首こり病(頚性神経筋症候群)の可能性がありますので、いちど診察することをおすすめします。

・4項目以下の人・・・・・・特に問題なし
・5~10項目の人 ・・・・・・軽症
・11~17項目の人 ・・・・・中症
・18項目以上の人 ・・・・・重症

■首こり病外来についてのご案内

どこに行っても治らなかった病気が首で治せる 「首こり」症状のチェックポイント解説-1

 はっきりした自覚症状があるのに、病院の検査では異常が見つからない。
 そんな患者さんに共通しているのが「首こり」です。首の筋肉の異常が心身にさまざまな不調を招いていました。これを首こり病と呼び、東京脳神経センター理事長の松井孝嘉医師が発見・命名し、治療法を確立しました。
これから何回かに分けて、問診表と症状との関係性についてお話をさせていただきます。

首こり病(自律神経異常)問診表は、これまでにも何回かご紹介させていただきましたが、改めて記載させていただきますので、ぜひ次のチェックテストを行なってみてください。

 これは、患者さんの訴える症状が、首疲労からきているものなのかどうかを見極めるための問診表です。30の項目のうち、自分によく当てはまると思うものを数えてみてください。 5個以上当てはまった人は、首の筋肉の異常により起こる首こり病(頚性神経筋症候群)の可能性がありますので、必要だと感じたら、東京脳神経センターほか、松井病院(香川県観音寺市)ネッククリニック名古屋大阪福岡など、首こり病のわかる医療施設で受診してみてください 。

1:  頭が痛い。頭が重い。
2:  首が痛い。首が張る。
3:  肩がこる。肩が重い。
4:  風邪をひきやすい。風邪気味のことが多い。
5:  めまいがある。天井・外界がまわった。
6:  ふわふわ感。ふらふら感。なんとなく不安定。
7:  吐き気がある。食欲不振。胃痛不快感。飲み込みにくい。
8:  夜、寝つきが悪い。目覚めることが多い 。
9:  血圧が不安定である。血圧が200前後になる。
10: 暖かいところ、寒いところに長くいられない。
11: 汗が出やすい。汗が出にくい。
12: 静かにしているのに心臓がドキドキする。急に脈が速くなる。
13: 目が見えにくい。像がぼやける。
14: 目が疲れやすい。目が痛い。
15: まぶしい。目を開けていられない。
16: 目が乾燥する。涙が出すぎる。
17: 口が乾く、つばが出ない。つばが多い。
18: 微熱が出る。その原因が不明である。
19: 下痢をしやすい。便秘・腹痛などの胃腸症状がある。
20: すぐ横になりたくなる。昼間から横になっている。
21: 疲れやすい(全身倦怠)。全身がだるい。
22: 何もする気が起きない。意欲、気力がない。
23: 天候悪化の前日、症状が強くなる。天気予報がよく当たる。
24: 気分が落ち込む。気が滅入る。
25: ひとつのことに集中できない。
26: わけもなく不安だ。いつも不安感がある。
27: イライラしている。焦燥感がある。
28: 根気がなく、仕事や勉強を続けられない 。
29: 頭がのぼせる。手足が冷たい。しびれる。
30: 胸部が痛い。胸部圧迫感がある。胸がしびれる。

・4項目以下の人 ・・・・・・特に問題なし
・5~10項目の人 ・・・・・・軽症
・11~17項目の人 ・・・・・中症
・18項目以上の人 ・・・・・重症
東京脳神経センター問診表はこちら


【首こり度 問診表の症状チェックポイント解説-1】

1:頭が痛い、頭が重い
 首こりの場合、かなり高い確率でこの症状が出ます。後頭部から首筋にかけて、突っ張った感じの痛みがあったり、頭が重いように感じたり、頭の周囲を取り巻くような痛みを感じたりするのが特徴です。
 ほとんど毎日、長時間にわたって痛みが続き、夕方になると痛みがひどくなるケースがほとんどです。

2:首が痛い、首が張る
3:肩がこる、肩が重い

 首こりの場合、ほぼ100%、首の異常が自覚されます。問診表の項目2に当てはまった上、ほかにも複数の項目が当てはまるようなら、首こり病である可能性はかなり高いと判断できます。

 また肩の痛みが出ることも多くあります。背中にこりや痛みがある方も、問診表の項目3に当てはまりますのでカウントしてください。

問診表の4以降は、次の記事でご説明させていただきたいと思います。
→どこに行っても治らなかった病気が首で治せる 「首こり」症状のチェックポイント解説-2

首こり病で自律神経失調となった患者さんは 誰も理解してくれない原因不明の体調不良に苦しみます。

『スマホ首病が日本を滅ぼす』より抜粋】

日本語には「肩に重圧がのしかかる」とか「重荷を背負う」という言葉があります。昔から、重荷に打ち勝とうと熱心に仕事をしていると、いつしか前かがみになり、猫背になって耐えしのごうとしてきました。

それは現代のパソコンを使った社会でも同じかもしれません。集中して仕事に打ち込めば打ち込むほど、頭が前方へとせり出し、背中は丸まり、少しうつむきながらの姿勢になっていきます。この時、肩や背中より、もっと重荷がのしかかっているのが首なのです。

首こり病にかかった時、病院などでは一般的にどのように対処しているのでしょうか。Aさん(30代半ばの女性)の発言を例に具体的に見てみましょう。

「内科、脳神経外科、整形外科、耳鼻科・・・いろいろな病院を回りました。結局、最後は心療内科に行かされました。心の病気、うつ病という診断でした」

Aさんが東京脳神経センターを訪れたのは、さんざん病院巡りを繰り返して後でした。どこにでもいるようなごく普通の会社員の方です。ただ、表情に関しては非常に暗く、こう言っては失礼ですが、三十代半ばという実年齢よりやや老けて見えたことは覚えています。

「きっかけは二年前くらいだったでしょうか、仕事中、急に動悸がしはじめたんです。すぐに良くなるだろうと放っておいたんですが、そのうちに手がしびれたり、手足が冷たいのに上半身が熱くてのぼせたり、肩こりもひどかったですね。で、仕方なく内科へ行ったら、あっさり『これは更年期障害です』と言われました。こんな年でもなるんだ、とショックでした」

そして、Aさんは安定剤を処方されました。

「でもまったく良くならなくて、そのうちに、肩こりだけじゃなく、首の後ろや頭まで痛くなってきました。特に夕方になると、張ったような痛みが出てきて、仕事になりませんでした。それで整形外科に行ったんです。念のためということでCTを撮りましたが、どこにも異常はありませんでした。『きっとストレスのせいでしょう。スポーツでもして気分転換をしたらどうですか?』と、お医者さんから言われました。カオイロプラクティックやマッサージにも通ってました。めまいの症状もあったので、それが元凶なのかと思って耳鼻科にも行きました」

そうAさんは話すと、ここからが大変でしたとため息をつきました。

「だんだん疲れが取れなくなってきて、朝、起き上がれなくなりました。遅刻ばかりでいつも上司に叱られました。気が滅入って、仕事もおっくうで、ついには会社を休むようになりました。ちょうど決算期の忙しい時期だったので、同僚からは白い目で見られていました。陰で“あのひとは怠け者だ”と、誰も理解してくれませんでした」

誰も理解してくれない・・・原因不明の症状を抱える患者さんに共通する切実な訴えです。

首こり病という、この病気の大きな問題は、周囲の人の理解が得られないこと。見た目にはなんら健康な人と変わりありませんし、また、がんや心臓病にように直接命にかかわってくる症状には見えませんから、どうしても周囲の人から病状を軽く見られがちです。

いつも一緒に働いている職場の同僚でも、本人がどんなに苦しんでいるかをわかりません。今日は調子が悪いと言えば、

「また怠け病がはじまった」
「精神がたるんでいるからだ」
「気の持ちようでしょう」

などと陰で言われ、あるいは面と向かって言われ、会社内で孤立している患者さんがたくさんいます。

それは家庭内でも同じ。症状が進行すると、Aさんのように出勤することさえ困難になってきます。朝はベッドから起きられず、部屋に引きこもりがちになり、笑顔がまったくなくなり、いつも暗い表情で横になっている。

そんな状況が続けば、長年連れ添ったご夫婦であっても

「会社に行きたくないだけでしょう?」
「いつまでこんなことをしているの?」
「家のローンはどうずるの?」

と、深い溝が生まれ始め、ぎくしゃくとした関係になります。

「誰にも理解してもらえない・・・」原因不明の体調不良を抱えて東京脳神経センターを訪れた患者さんたちは、そのほとんどが口々にこのようなことをおっしゃいます。そのつらさは痛いほどわかります。この病気はからだだけでなく、人間関係の悪化をも招いてしまいます。Aさんも、自分の苦しみを誰にも理解してもらえないつらさを感じていました。

しかし唯一、Aさんの理解者がいました。それは彼女のお母さんです。

「母だけは心配してくれました。私の病気をいろいろと調べてくれて、これは精神的な病気では?と教えてくれて、名医として有名な先生の心療内科にかかりました。そこでうつ病と診断され、今は会社を休職しています。抗うつ剤を処方され毎日飲みましたが、効き目を実感できず、二倍量、三倍量と増えました。しかし気分は良くならず、何か新しい訴えをすると、その度に別の薬が増えて、今では十数種類の薬が処方されています。薬漬け状態です。何も変わらないのでやめたいと先生に言っていました。そんな折に記事で“首こり病”のことを知りました。もしかしたらこの病気ではないのか・・・と思ったのです」

診察に訪れたAさんの問診表を見ると「はい」の数が18個ありました。これはもはや重症の部類でした。彼女がひとりで抱えたつらさは相当だったはずです。

診察・検査・診断後、すぐに治療に入りました。幸いAさんは真面目な方でしたので、きちんと二日に一度、治療に通ってくれました。一種間もすると、頭痛、首こり、肩こりが軽くなり始め、今までなかった笑顔が見られるようになりました。二週間後には気分の落ち込みといった精神症状が取れ、抗うつ剤の量を約三分の一にまで減らすことができました。

Aさんは「人生が楽しく感じられるようになりました」と嬉しそうな笑顔を見せながらも、不思議そうにおっしゃっていました。最後の方まで動悸とめまいだけは残りましたが、このふたつの症状も含め、およそ2ヵ月後にはほとんどの症状が消失しました。

Aさんは、“あれもしたい、これもしたい、ものごとすべて前向きに考えられるようになり、本当に生まれ変わったようだ”とおっしゃってました。 (『スマホ首病が日本を滅ぼす』より抜粋)

■ 自律神経の機能を検査する 自律神経ドックを開始しました。

※東京脳神経センター


最新の脳ドック・・・わずか5ccの採血で脳梗塞・心筋梗塞の発症リスクを見抜くオプション検査LOX-index

トラブルで命に直結するのが心臓と脳。現在、日本人の死因1位が「がん(約36万人)」ですが、2位の「心疾患(約20万人)」、4位の「脳血管疾患(約12万人)」の合計が約32万人でがんの死因とほぼ同水準となっています。
そして驚くことに患者数ではがんよりも心疾患・脳血管疾患は圧倒的に多く、その数は約2倍(下記)でますます増加の一途をたどっています。

・がん(約152万人)
・心疾患(約161万人)
・脳血管疾患(約123万人)

恐ろしいのは、脳梗塞が寝たきり原因の約4割で、これは寝たきり要因の最多だということ。

こうしたリスクを減らすために役立つのが脳ドックです。脳ドックは現状を診断するものですが、この脳ドックの検査にオプションとしてわずかな採血で脳梗塞・心筋梗塞の将来的な発症リスク検査も可能でになっています。

発症リスクというのは、これまでの検査では、すでに発症している人の病気を見つけるためのものがほとんどでした。しかし最新の医療検査は、脳卒中、心筋梗塞など体に異状が発生する前から、その存在を見通すことができるようになってきたのです。それがLOX-index検査です。

この検査では、血液中に含まれる特定のたんぱく質量を測定し、解析することで将来的に脳梗塞や心筋梗塞を発症するリスクを数値化することができます。検査の基礎となるデータは国内で約2500人を対象に約11年追跡した研究で、LOX-indexの数値が基準値を超えると10年以内の脳梗塞発症率が約3倍、心筋梗塞発症率が約2倍になります。

検査はおよそ5ccの血液を採血するだけで、約3週間後に検査結果が判明。10年以内に脳梗塞と心筋梗塞を発症するリスクとともに、生活習慣の助言などをレポートで受け取ることができます。

これまで動脈硬化の測定は、LDL(悪玉)コレステロールの数値を指標にしていて数値が高ければ、動脈硬化が進んでいると判断しています。しかしLDLコレステロールの数値が低くても、心筋梗塞を発症する人が約30%いるとの研究結果があり、LDLコレステロールと動脈硬化の相関性は必ずしも明確ではありませんでした。

そこで日頃の健康診断の血液検査だけでなく、脳ドックの際にLOX-index検査も行なうことで、LDLコレステロールの数値が低いにもかかわらず脳梗塞・心筋梗塞を発症する人のリスクも、早期に明らかにすることができます。

 LDLコレステロールの数値が指導値よりも低いため、本当は心筋梗塞リスクがあるのにそれを自覚できていない方が本当は危険です。LDL数値が正常な方にこそLOX-indexをぜひおすすめします。30分程度の脳ドック検査にオプション追加で、時間は数分のわずかな採血だけ。検査前の準備は特に必要ありません。

<関連記事>
・脳卒中から命を守る合い言葉「FAST(ファスト)」
・ 脳卒中になりやすい人
・脳卒中の分類と症状
・脳卒中5つの症状

■脳・神経の疾病リスク検出から、がん、脳梗塞、心筋梗塞リスクまでカバーできる充実の脳ドックはこちら。

首こり病の原点である著書を充実化させた「スマホ首病が日本を滅ぼす」ご紹介

タイトルは「スマホ首病」となっていますが、世の数々の首こり関連書籍の原点ともいえる「首を治せば病気が消える」の内容を、最新の情報を追加するなどして充実化させたのが、この「スマホ首病が日本を滅ぼす(ワニブックス)」です。

首こり病の正式名称は、松井医師が学会発表した『頚性神経筋症候群(頚筋症)』。これは、首の筋肉の異常なコリにより12対ある脳神経のひとつ、迷走神経に影響することで、めまい、うつ、パニック障害、動悸、発汗、慢性疲労など、様々な原因不明の体調不良を発症します。

この「スマホ首」という言葉も松井医師が使い始めたもので、今やピップエレキバンはじめ、一般的にも使われ出しています。新書サイズで、とても読みやすいので、ぜひご一読いただければと思います。


【松井医師の言葉:著書より】スマホの爆発的な普及により、今までは考えられなかった奇異な社会現象が起きています。そのメカニズムと被害の実態について、日々多くの患者さんの首を診察するドクターとして警告を発します。あなたのからだと心を壊す“スマホ首”に警鐘を鳴らすのが本書の重要な目的のひとつです。

ダヴィンチ書評

■書籍はこちら 『スマホ首病が日本を滅ぼす』

うつ症状、慢性疲労、睡眠障害、ふらつき、動悸、パニック障害などなど・・・不定愁訴の原因

 体がだるい、頭が重い、フラツキがある、寝付きが悪い、気分が沈むなどの「不定愁訴」は、どの診療科を回っても確たる診断が下されず、最後には心療内科へたどり着くことが多い。しかし心療内科でも、睡眠薬や安定剤などが処方される対処療法がなされるだけで、根本治療とはほど遠いのが現状です。

 首こり博士・松井医師は、こうした不定愁訴の根底には、実は「首こり」があると見ています。専門的には頚筋(けいきん)が異常を起こすことで、副交感神経の働きが鈍くなるのです。

 電車に乗っていると、ほとんどの人がうつむいてスマホを見ている。パソコンを見る際も、たいていの場合、下向き加減になります。このように首が長時間下向きに固定されると、首の筋肉の使いすぎを招き、その結果「首こり」によって副交感神経の働きが影響を受けて不定愁訴リスクが高くなります。

 首の筋肉が異常を起こす原因は主に3つあり、「頭を打つ、むちうちなど外傷によるもの」、「スマホやパソコンなどを長時間使うことによる首の使いすぎ」、そして「元々首の筋肉が弱かったり、猫背などによるもの」と松井医師はみています。

そして近年ではスマホによる弊害が急速に増加しています。これについて松井医師は以下のように述べています。

 「スマホが登場した2010~2011年以降、首の筋肉に異常が見られる人が激増した。首の筋肉は、ある程度までは使いすぎても元の状態に戻るが、一定レベルを超えると固くなって伸び縮みできなくなってしまう。診察時に、骨や鉄のように首の筋肉が固くなっている人をよくみるが、ここまでくると元には戻らないので治療が必要になる。アメリカでもスマホの普及と比例するように10代・20代の若者の自殺率が急増しているが、その原因がわからないため問題になっている」

 首の筋肉の異常が起きるのは、首の後ろ側にある太い筋肉。うつむきがちの姿勢を続けると、首をまっすぐにしている状態より、およそ3倍も首に負担がかかる。ちなみに、頭の重さは平均的なボーリングの玉と同じ6キロ前後。頭を支える首が、うつむき姿勢のおかげで過度な負担にさらされています。

なぜ首を使いすぎると不定愁訴につながるのだろうか?

「首を使いすぎて首の筋肉がこると、副交感神経がうまく働かなくなる。副交感神経とは、睡眠や入浴時などに活発になり、体をリラックスさせる自律神経。どうして首がこると副交感神経の働きが低下するのか、そのメカニズムはまだよくわかっていないが、臨床上、多数の症例で確認はできている。副交感神経がうまく働かなくなると、眠りが浅い、寝付きが悪い、疲れやすい、気分が落ち込む、やる気が出ないなどの症状が現れる。重度になると、うつ状態となり、重症になるとほぼ全員が自殺念慮を持つことも分かって来ている。これらの症状は他の疾患でも起こりえるため、誤診されている例がとても多い」

 本当は首こりが原因なのに、他の疾患だと誤診されているものには、うつ病、頭痛、めまい、パニック障害、慢性疲労、更年期障害、胃腸障害、ドライマウス、ドライアイなどがあります。

 これについて、2019年6月、イギリスの学術ジャーナルBMCに、東京脳神経センター(理事長・松井孝嘉)の研究チームによる、首こりの治療と不定愁訴が80%以上の回復率を示す研究論文が掲載され、日経新聞、朝日新聞ほかにも取り上げられています。

 首がこっている人は、ほとんどの場合、全身の疲労を訴える。副交感神経の働きが鈍くなると、原因不明の疲れが出てきます。この両者の関係はちょうど昔の井戸の水をくむツルベと同じ。副交感神経が正常で高い位置にあれば疲労は全く出てこないが、副交感神経のレベルが下がると原因不明の疲労が出てくることが多くの臨床結果からわかってきました。

「目が乾燥する」「口が渇く」という項目を不思議に思う人がいるかもしれないが、涙やだ液は副交感神経が働くことで分泌されるので、ドライアイやマウスは首こり病が原因となっている可能性がある。これらの症状が見られる患者さんの多くが首こりの治療で改善しています。

 そのほかにも首こりの患者さんは原因不明の微熱の出ることが多い。何日も検査入院して結局何も異常が見られず原因がわからなかったという患者さんが検査の結果、首の筋肉に異常が見つかり、治療を行い正常になると微熱も消えるというケースがほとんどです。

ところで、首こり病の患者さんによく見られる、外見的な特徴はあるのだろうか?

 それは、瞳孔の開いている人が多いということ。診察時に、瞳に光を当てても反応がない。副交感神経の働きにより瞳孔は閉じるので、副交感神経の働きが悪くなっている証左だと考えられる。そして、笑顔が作り笑いになっている人が多いという特徴もある。治療を行うと、ほとんどの患者さんに自然な笑顔が戻ってきます。

 また、40代後半から50代の女性が悩む更年期障害も、実はその70%以上が首こりが原因となっていることが多い。 東京脳神経センターにて松井医師が診察した結果、女性ホルモンのゆらぎが原因となっている更年期障害は3割程度。残りのおよそ7割は、首こり病が原因と考えられる。婦人科でホルモン補充療法などを受けてみても治療が奏功しない場合は、首こりが原因ではないか疑ってみてほしい。更年期障害を訴える女性の多くが、首こりの治療を行うことで症状が軽快・消失しています。

原因不明の体調不良、自律神経が原因かもしれません。

頭痛、めまい、自律神経失調症、うつ状態、パニック障害、ムチウチ、慢性疲労、胃腸不良、難治性の更年期障害・・・こんな不調に悩んでいませんか?長年、自律神経失調の治療に携わってきた松井孝嘉先生は、こうした不調の原因が「首(自律神経)」にあることを、著書や研究論文などで発信し続けています。その知られざるメカニズムと、みるみるカラダがよみがえる治療法&予防法の一部を、その著書よりかいつまんでご紹介します。

自律神経には「アクセル」と「ブレーキ」がある

よく知られるように、自律神経には「交感神経」と「副交感神経」とのふたつがあります。

交感神経は、心と体を「がんばるモード」にシフトする神経です。これを「戦闘モード」と言い換えてもいいかもしれません。

この神経は、仕事で緊張したときや身の危険を感じたとき、スポーツや人間関係で何かを争っているときなど、“ここぞ”というときに優位になります。そういった場面でより力を生み出せるよう、心拍数や血圧を上げ、呼吸を速くし、血管を収縮させて、心と体を焚きつけるように働くのです。

これによって胃腸の動きは鈍くなります。言うなれば交感神経は、よりがんばるための「心身のアクセル」のような役割を果たしているわけです。

一方の副交感神経は、心と体を「リラックスモード」にシフトする神経です。

こちらの神経は、安心してくつろいでいるときや寝ているとき、気持ちが癒されているときなどに優位になります。よりゆっくりと休めるように、心拍数や血圧を下げ、ゆったりした呼吸にし、血管を拡張させて、心と体を落ち着かせるように働くわけです。

これによって胃腸の動きは活発になります。副交感神経は、よりリラックスするための「心身のブレーキ」のような役割を果たしているといっていいでしょう。

なお、この「アクセル」と「ブレーキ」は、両方がバランスよく使われていてこそ、うまく機能するものです。車やオートバイなどもそうですが、スピードを上げたいときは「アクセル」を踏む、スピードを落とすべきときは「ブレーキ」をかけるといった絶妙のコンビネーションが成り立っていて、はじめてうまく運転できるものです。

それと同じように、人間の体も「交感神経というアクセル」と「副交感神経というブレーキ」をバランスよくかけることができないと、自分という“車体”をうまく乗りこなせないようにできているわけです。

しかし、この「アクセル」と「ブレーキ」がうまく機能しなくなったら、いったいどうなることでしょう。スピードが出すぎたり、ブレーキが利かなくなったりすれば、自分という“車体”が操縦不能になって、あっという間に事故や問題を起こしてしまうのではないでしょうか。

すなわち、自律神経の失調状態とは、このように「交感神経=アクセル」と「副交感神経=ブレーキ」のバランスがとれなくなってしまった状態のことを指しているのです。

首の筋肉異常をきっかけとして、「アクセル」と「ブレーキ」の配線が混乱を起こし、「胃腸の調子がおかしい」「動悸や息切れがする」「体温がうまく調節できない」「血圧が安定しない」といったさまざまな“故障”が、次から次に“車体”のあちこちに出てきてしまうわけです。

「首こり」が自律神経を乱す

では、首疲労による自律神経失調では、「アクセル」と「ブレーキ」にどのような問題が生じているのでしょうか。

これは、どうやら「ブレーキ」側に問題があるようです。

副交感神経のほうが失調をきたし、その結果、相対的に交感神経のほうが優位な状態が続くことになってしまう。すなわち、「副交感神経というブレーキ」の利きが悪くなったために、結果的に「交感神経というアクセル」をずっと踏み続けているような状態になってしまうとみられるのです。

これは人間の心身にとって、たいへん危険な状態です。交感神経は“ここぞ”というときに「戦闘モード」になって力を出すためのシステム。それが「アクセル」を踏みっぱなしで、常時「戦闘モード」のような状態になっていては、心も体もすぐにエネルギー切れになって燃えつきてしまいます。

休みたくても「ブレーキ」がうまく利かないから休むこともできない。それで、心身が疲弊しきって“燃えカス”がくすぶっているような状態のまま、延々と走らされるようなハメに陥ってしまうわけです。

こんなひどい状態では、心や体の機能が大きく落ち込み、さまざまな“故障”が発生するのも当然でしょう。

自律神経失調症というのは、このように心と体のコントロール機能がアンバランスになってしまう病気なのです。

ちなみに、自律神経失調症は、長らく“治療のしようがない病気”と見なされてきました。病院を受診しても、たいていは当面のつらさや痛みをごまかす薬を出されるだけ。その薬が切れればまたつらくなるうえ、神出鬼没というほどあちこちにいろいろな症状が現われるのです。

それで、体のあちらこちらで悲鳴が上がるたびに、薬に頼って症状をごまかす。そんな“堂々巡り”を繰り返すうちに、すっかり“薬漬け”になってしまう患者さんもたくさんいらっしゃいました。

しかし、その病気が首の筋肉疲労をとることによって“完治可能”となったわけです。現在のところ首疲労治療は、自律神経失調症を根治させることのできる治療法といっていいでしょう。
◆自律神経機能を検査する「自律神経ドック」

松井先生 近著:自律神経が整う 上を向くだけ健康法