新連載! むち打ち症、自律神経失調症、起立性調節障害と頸の筋肉との関係を解明する!

第4回:謎解きの旅パート2 – 迷走神経

<解説>

昔の解剖学者が内臓のどこに行くかがわからないので迷走神経という変わった名前がついているんだ。迷走神経は全身の副交感神経の親玉でもあるんだ。自律神経失調症の症状のほとんどが、迷走神経の機能低下で説明できそうだね。

ここで忘れていけないことは、自律神経の機能は、脳から内臓などへ命令を出す(遠心性という)よりは、内臓から脳に情報を上げる(求心性という)情報の方がずっと多い(70-80%)といわれているんだ。

でもどうして、頸と関係のない、頭の中の目の症状や耳の症状がでてくるの?

そこが、謎解きの一番重要なところだよ。謎解きのためには、生物の進化の過程を考えるとわかりやすいんだ。

<次回に続く>

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第3回:謎解きの旅の始まり

<解説>

頸の筋肉と今まででてきた自律神経の症状が関係あるとしたら、どんなことが考えられるの?

うん、それでは一緒に謎解きの旅にでよう。頭痛は自律神経とちょっと違うからあとで考えるとしておいておいて、そもそも、自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあるんだ。まぶしい、ドライアイ、すぐに目がぼやける、耳閉感などの症状は副交感神経との関係が強くて、副交感神経の機能が低下するとその症状が出てくるんだ。

自律神経とのどの違和感、胃の不快感、腹痛、動悸との関係はどう考えるの。

ここは一番簡単にわかると思うよ。消化管や心臓など胸郭と腹腔の内臓のほぼすべては、頭部からでて頸の前側の両側を通って胸腔、腹腔に行く迷走神経という超有名な神経に支配されているんだ。

迷走神経??

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第2回:むち打ち症と自律神経失調症の共通症状

<解説>

むち打ち症や自律神経失調症に共通な、各種症状、頭痛、のどの違和感、吐き気、胃の不快感、胃の痛み、逆流性食道炎、腹部膨満感、便秘、下痢、めまい、まぶしさ、ドライアイ、耳鳴り、聴力低下、音がこもる等に関して考えると、まずは消化管と関係すること、さらには、心拍数と関係すること、頭部では頭痛、目と関係するのが、まぶしさ、ドライアイ、あとは耳の鼓膜などとの関係でわけられるんだよ。

そして、むち打ち症でいろいろな症状がでる事に関しては、内科、耳鼻科、眼科、整形外科、脳外科、そして最終的には、心療内科、精神科の医師が、自分の専門分野の考え方で、症状を診断していることが理由のひとつなんだ。

追突事故で頸の筋肉がやられて、上の症状がでてくるわけだから、一つの原因で、全てが説明できる考え方を見つけ出さなくてはならないんだ。また最近、小学生・中学生の患者が急増して社会問題になり始めている、起立性調節障害とむち打ち症の症状はとても似ているんだ。そしてむち打ち症の根本的な治療法をみつけることができれば、起立性調節障害だけでなく、いわゆる髄液減少症、線維筋痛症などの治療にも有効になる可能性が高いんだ。

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第1回:むち打ち症、自律神経失調症、起立性調節障害と頸の筋肉との関係

<解説>

自律神経失調症とはね、不眠、朝起きられない、元気がでない、頭痛がする、めまいがする、胃の調子が悪い、吐き気、などの不定愁訴から、内科や耳鼻科、脳外科などを受診して、血液検査や脳のCT検査などあらゆる検査をしても、異常がみつからない人に対してつけている病名、正確には状態のことなんだ。症状が悪化すると、うつ症状もでてくるので、心療内科や精神科でうつ病という病名がつけられ、睡眠薬や精神安定剤などが処方されることが多いんだ。追突事故などの後2-3週間して出てくる各種症状(頸の筋肉の痛み、頭痛、吐き気、その他)のことをむち打ち症後遺症といって、自律神経失調症の症状と似ているので、頸の筋肉の障害と関係があるのではないかと考えた人がいるんだ。

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首こりが原因で起きる頭痛の特徴とは(2)

■前の記事「首こりが原因で起きる頭痛の特徴とは(1)」はこちら

片頭痛の一部は頚性神経筋症候群*
※頚性神経筋症候群(けいせいしんけいきんしょうこうぐん/首こり病)

片頭痛は女性に多い頭痛で、男性の3.6倍にものぼるといわれています。一般的にはズキンズキンと血管が脈打つような痛みが、月に2~3回発作的に起こります。

症状は頭痛以外に吐き気や嘔吐、光や音に過敏になったりするなど、日常生活に支障をきたすほどの痛みで、寝込んでしまったり、発作時には2~3日も仕事ができないということも多いのです。

この原因は、いまだによくわかっていませんが、動脈が拡張するための痛みだといわれています。

片頭痛は、ストレスから解放されたときや、空腹時、生理や排卵にともなって起こりやすい傾向があります。ふだんからストレスを溜めないように注意し、規則的な運動や食事をとることが治療の第一歩です。

そのうえで、脳の血管が拡張するのを抑える薬を使用します。内服、点鼻、注射などがあり、今では在宅自己注射も認められています。トリプタン(成分名)系の片頭痛の薬も処方されています。

しかし、現在の片頭痛の治療は、あくまでも対症療法に過ぎません。片頭痛の原因がどこにあるか不明なので、今のところ薬で症状を抑えるしか手がありません。ですから、薬の効果が切れると痛みがぶり返したり、再発したりします。

ところが、松井医師たちの臨床データから、毎日のように起こっていた典型的な片頭痛が「首のコリ(首こり)」の治療で完治したという例も出てきています。松井医師は、頚筋の異常と片頭痛とは何らかの関係があるとみています。

群発頭痛は原因不明

群発頭痛は分か男性に多く、1年から数年の間に一定期間だけ、明け方に目の奥がえぐられるような激痛が起こります。脳の血管が拡張し、三叉神経を刺激するのが原因だという説もありますが、本当のメカニズムはまだ解明できていません。

群発頭痛が起きる起きている期間は、禁酒が原則です。アルコールが痛みを誘発するからです。痛みを抑えるには、酸素吸入をするか、片頭痛と同じくトリプタン系の薬が効果的といわれます。このタイプの頭痛の中には、首のコリとの関係は今のところ見られません。

その他の頭痛
慢性的に起こり、また原因のはっきりしない頭痛と異なり、何らかの病気が背景にあって頭痛が起こる場合があります。

女性の更年期障害で、頭痛の訴えは良く聞かれる症状のひとつと言われてきましたが、頚性神経筋(けいせいしんけいきん)症候群が更年期障害と誤診されている可能性もあります。また、緑内障や慢性中耳炎、外耳道炎、鼻炎でも起こることがあります。

頭痛の陰に隠れている危険な病気で特に気をつけなければならないものに、脳卒中があります。いわゆる脳卒中には「くも膜下出血」「脳梗塞」「脳出血」が代表的な病気です。いずれも軽いものから命にかかわる重大なケースまでさまざまですが、いずれにしてもすみやかに病院で検査・治療を受ける必要があります。

■脳卒中の分類と症状

首こりが原因で起きる頭痛の特徴とは(1)

慢性頭痛(一次性頭痛)は、大きく分けると、全体の約7割近くが「緊張性頭痛(頚性頭痛・けいせいずつう)」で、残りの約3割が「片頭痛」です。そのほか、患者数は非常に少ないのですが、「群発性頭痛」があります。

緊張性頭痛は首が原因

緊張性頭痛は、頭が締め付けられるような痛みが毎日にように続くのが特徴です。 これは、首の筋肉が硬くなり、頭痛の神経といわれている大後頭神経を筋肉が締め上げて引き起こされる頭痛です。長時間同じ姿勢でいたり、首に強い圧力がかかったりすることが主な原因です。

首にはさまざまな筋肉がついていますが、その中でも頭半棘筋(とうはんきょくきん)が緊張して、凝った状態(首こり)になり、頭半棘筋を貫通している大後頭神経が締め付けられると、緊張性頭痛が起きることを松井医師は頚性神経筋症候群の治療法を開発する過程で発見しました。

緊張性頭痛の痛みの原因は、首の筋肉の中(間)を走行している神経の圧迫にありますから、松井医師はこれを「頚性頭痛(首から頭痛)」と呼ぶのが適切な疾病名であると考えています。

この緊張性頭痛は、従来、鎮痛薬や筋弛緩薬などで、痛みや筋肉の緊張をやわらげる治療法が中心でした。

薬を飲めば一時的に症状は軽減されますが、根本的な治療ではないため、再び頭痛が起こります。これが従来の治療法です。

頭痛専門外来など頭痛を専門にしているところも、薬で一時的に抑える治療しかできません。しかし、首の筋肉を治療すれば、ほとんどの患者さんが、毎日のように続いた痛みから解放されます。


緊張性頭痛と診断され、薬を服用しても痛みの程度や頻度が増えていく場合は、首のコリ(首こり)を疑ってみるべきでしょう。

なお、大後頭神経が刺激されたとき、顔面に痛みが及ぶことがあります。これは、顔面の痛覚をつかさどる三叉神経が脳の中で大後頭神経と至近距離で交わっているためと考えられています。

顔面の痛みは鈍痛で、多くは額に現れます。これはいわゆる三叉神経痛とは異なり、鈍い痛みで、多くは首の筋肉の治療でよくなります。三叉神経痛の場合は、耐えられないような痛みが左右いずれかの顔面に起こります。原因は、動脈が三叉神経に当たるためで、治療は動脈と三叉神経の間にクッションを入れる手術が必要です。

首の筋肉についての記事

“首こり”が、 どのように自律神経失調症に影響するのか?

首は神経のスクランブル交差点

首の筋肉の異常が、どのようなメカニズムで自律神経に影響を与えているのかは解明されておらず、いまのところ推測の域を出ません。ただ、はっきりしているのは、首の筋肉のコリ(首こり)を解消すると、自律神経失調症の諸症状が治癒するという現実です。

このことに関しては、原因不明の体調不良『不定愁訴』で入院した患者さん1,863名に対し、頚部筋群への局所療法を行なった結果、退院時には不定愁訴28症状が50%以上の回復率を示しました(下記グラフ参照)。

このことを東京脳神経センターの研究チームがまとめた研究論文が、国際医学ジャーナル「ヨーロピアン・スパイン・ジャーナル」に2020年1月14日、掲載されました。

医学では「原因と症状の発症メカニズムが先にわかって、それに基づいて治療法が発見される場合」と、因果関係は不明でも「症状に対する治療法がわかったので、原因が特定でき、症状発症のメカニズムがあとから解明される場合」とがあります。

首こりによって発症する「頚性神経筋症候群」の治療は、まさに後者のケースであり、そのメカニズムの究明には今後の研究に期待がかかります。 首の筋肉の異常がなぜ不定愁訴の原因になるのでしょうか。推察される範囲で説明したいと思います。

まずは、首の大まかな仕組みを述べておきます。

私たちの身体を支える背骨(脊柱)は「脊椎骨(せきついこつ)」という小さな骨が積み重なった構造をしており、椎骨と椎骨の間にはクッションのような働きをする「椎間板」があります。椎骨と椎骨とはベルトのような「じん帯」でつながれています。

私たちが首と呼ぶのは、脊柱の最上部から7個までを指し、解剖学的には「頚椎(けいつい)」といいます。そして、この上にある約6キログラムの頭部を、頚椎をはじめとする椎骨(ついこつ)と頚部(けいぶ)の筋肉が支えているのです。

頚椎をはじめとする椎骨は複雑な構造で連なっており、その周囲をいくつもの筋肉群が取り巻いているので、頭を左右に動かす、首を回す、首を曲げるなどの複雑な動きが可能になるのです。

また、頚椎には脳と直結する「脊髄」を保護する役割もあります。頚椎の中央には、「脊柱管(せきちゅうかん)」というトンネル状の空間があり、その中を脊髄が通っています。

脊髄からは神経が枝分かれし、脊柱の隙間から出て、肩や腕へと伸びています。この枝分かれした神経の根元を「神経根(しんけいこん)」といいます。

「自律神経」は脳や脊柱の神経節をつくり、さらにそこから各臓器に連絡しています。このように自律神経は、身体中に細かい神経のネットワークをつくり、身体の各部所の働きを自動的に調節しています。

首は脳の一部であり、頚椎が主体となった神経の通り道であり、同時に肩や背中の筋肉の一部が首と連携し頭部を支え、動かす中心的な役割を果たしているのです。

首の動きをあやつる筋肉群

さまざまな筋肉に囲まれ、重い頭を支えているのが頚椎です。頚椎のまわりの筋肉には「僧帽筋(そうぼうきん)」「頭板状筋(とうばんじょうきん)」「頭半棘筋(とうはんきょくきん)」「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」などがあります。

僧帽筋は、首から背中にかけて大きく広がる筋肉で、問題を起こす首の筋肉のなかではいちばん表層、つまり皮膚に近いところにあります。この筋肉の首・肩部が収縮することで、肩をすくめるように肩甲骨を上内方へ引き上げます。

頭板状筋は、僧帽筋の下にあり、頚椎の後ろから上外方に伸びて後頭骨の外側と結んでいます。両側が同時に収縮すると、頭を後ろへ反らせ、片側だけ収縮すると、そちらのほうへ頭が回転します。

頭半棘筋は、頭板状筋の下にあり、ほぼまっすぐに上下に走って後頭骨と椎骨の後外側を結んでいます。頭を後ろに反らせる働きがあります。

胸鎖乳突筋は、耳の後ろにある骨の出っ張りとその付近から胸骨と鎖骨を結んでいます。左右同時に収縮すると、首をすくめてあごを突き出す形になります。片方だけ収縮すると、顔を反対側へ回しますが、頭全体は前傾しながら同じ方に傾きます。

以上4つの筋肉のほかにも、小さいながらも重要な筋肉がいくつもあります。頚椎と後頭骨をつなぐ「大後頭直筋」「小後頭直筋」、頚椎の外側と後頭骨の外側をつなぐ「上頭斜筋」「下頭斜筋」などです。いずれも頭を後ろに引いて直立に保つ働きをしています。

これらの首の筋肉のこり(首こり)がひどくなると、自律神経に影響し、副交感神経の働きが低下すると考えています。そのために、頭痛や頭重、全身倦怠感、めまい、不眠、イライラ感、動悸、血圧不安定、発汗、目の乾燥など、さまざまな不快な症状が出てきます。正確なメカニズムは現在研究中です。

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■“首こり”から頭痛、めまい、うつ、自律神経失調症が発症する。
☆自律神経の機能を検査する 自律神経ドックを開始しました。

自律神経失調症と首こり(首の筋肉)

自律神経失調症は治療の決め手がない?

相反する作用を持つ交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、自律神経が変調をきたすと、動悸、めまい、息切れ、手足の冷え、全身倦怠感、頭痛、頭重、肩こり、不眠、イライラ感など、さまざまな症状が現れてきます。

通常の検査をしても、体にはこれといった異常は見当たらない。このような状態を、ひとまず「自律神経失調症」と呼んでいるわけです。

自律神経のはたらきを司っている中枢は、脳の視床下部ということろにあります。この部位には、不安、恐怖、怒り、快・不快などの情動の中枢もあるため、自律神経は感情の影響を受けやすいのです。

緊張すると、動悸が速くなり、トイレに行きたくなるのは誰もが経験していることでしょう。また気持ちが落ち込んだりしたときには、食欲がなくなったり、夜眠れなくなったりします。これは不安や緊張などの感情によって自律神経が大きく影響を受けたことによります。

これまで自律神経失調症の治療は、一般的に、自律神経調整薬などの薬、食事や睡眠などの生活指導、リラックス法、心理療法などが行われていますが、どれも十分な効果が得られなかったのが現状です。

そのために、自律神経失調の症状である不定愁訴をたくさん抱えた多くの患者さんが大病院の外来をワンダリング(病院を渡り歩く)しています。

こうした中、松井医師は、自律神経失調が首の筋肉の異常で起きることを発見し、研究の結果、現在では特定ポイント34か所を突き止め、首の特定ポイントを治療することで自律神経失調症は治療することができるようになりました。

この研究論文(英文)は、2020年1月14日に国際医学ジャーナルである「ヨーロピアン・スパイン・ジャーナル」に、掲載されています(英文)。
◆Cervical muscle diseases are associated with indefinite and various symptoms in the whole body

またその研究内容を元に「メディカルトリビューン健康百科」に記事が掲載されています。
◆不定愁訴治療の鍵は首の筋肉の緊張緩和

このように、首の筋肉のこり(首こり/肩こり)が自律神経に影響を及ぼすことが、自律神経失調症の大きな原因のひとつになっているという発見で、自律神経失調症の治療は大きく一歩前進しました。

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■首こりとうつ

■ “首こり”から頭痛、めまい、うつ、自律神経失調症が発症する。

首こりの問診表の中で、特に女性に多い症状―3  「頭が痛い・頭が重い」(首から頭痛)

■女性に多い症状3:「頭が痛い・頭が重い(問診表1番)」
頭痛や頭重は、頚筋症候群の患者さん、とくに女性に非常によく見られる症状のひとつです。

とは言っても、発作のように急激に起こる痛みではなく、ほとんど毎日のように、頭が締め付けられるようなジワーッとした痛みや圧迫感が続くのが特徴です。

患者さんによっては「後頭部から首筋にかけて、突っ張った感じの痛み」「鉢巻きで頭を締め付けられるような痛み」などと表現することもあります。あるいは痛みとして感じなくても「なんとなく頭が重い感じ(頭重感)」「頭が雲に覆われたようにボーッとした感じがある」と表現する人もいます。

このような頭痛は、一般には「緊張型頭痛」と呼ばれています。しかし松井医師を筆頭に東京脳神経センターで首こり病・不定愁訴を診療するドクターたちは「頚性頭痛」とも呼んでいます。

なぜなら、患者さんの首や肩、背中の筋肉を調べてみると、とりわけ首の筋肉に著しい“こり”が見られ、これが頭痛の原因になっていると考えられるからです。この頚性頭痛は“首から頭痛”とも呼べるものです。

こうしたケースが非常に多く、いわゆる頭痛(慢性頭痛)のおよそ70%を占めているのが緊張型頭痛と考えられます。これは、首の筋肉の頭半棘筋(とうはんきょくきん)という筋肉を、大後頭神経(だいこうとうしんけい)が貫いていて、頭半棘筋が硬縮すると、大後頭神経を締め付けて頭痛となって現れます。

そこで、頭半棘筋をゆるませる治療をすると頭痛が止まります。

長時間にわたってパソコンや同じ姿勢で作業を続けている人では、夕方になると痛みがひどくなるケースが多いのも、頚性頭痛(首から頭痛)の特徴です。

なお、同じ頭痛でも、ズキンズキンと血管が脈打つような痛みは「片頭痛」と呼び、現在、首のこりと関係ある片頭痛も見つかっています。この片頭痛は血管の拡張が原因とされていますが、そのメカニズムは解明されていません。

片頭痛は女性に多く見られ、子どもや高齢者に見られないのが特徴です。症状を抑えるためには、神経内科などで適切な治療を受ける必要があります。しかし、これは一時の抑えで、根本治療とはいえません。

いっぽうで、首のこりからくる片頭痛も一部に見られることが臨床からわかってきています。

しかし、これまで経験したことがないような激しい頭痛に見舞われた場合は、くも膜下出血など脳の病気が疑われますので、直ちに病院を受診してください。

(問診表解説)「首こり」症状のチェックポイント解説-1

首こりの問診表の中で、特に女性に多い症状―2  「ふらっとする、めまいがある。歩いていたり立っているとき、なんとなく不安定」

前の記事:女性に多い症状―1  「のぼせ、手足の冷え、しびれ」

■女性に多い症状2:「ふらっとする、めまいがある(問診表5番)。歩いていたり立っているとき、なんとなく不安定(問診表6番)」

頚筋症候群(首こり病)の患者さんは振り返ったり、頭の向きを変えようとしたときや、横になっていた姿勢から起き上がろうとしたときなどに「ふらっとする」と訴えるケースが多く見られます。

また、
「いつも船に乗っているようにフラフラする」
雲の上にいるようなフワフワ感がある
「地面が揺れているように感じる」
など、表現は違いますが、めまいや、ふらつきを感じている人が少なくありません。

なかには
「天井がぐるぐる回るように感じる」
「奈落の底に引っ張られていくようだ」
と訴える人もいます。

そういう方が、耳鼻咽喉科を受診すると「メニエール病」や「メニエール症候群」「良性発作性頭位めまい症」などの診断をされることも多いようです。

メニエール病は、理論的には存在する内耳の病気ですが、数は非常に少ないのです。メニエール症候群は、メニエール病に似た病気ということで、一時は「めまい」はほとんどすべてメニエール症候群で片付けられていました。

首の筋肉が原因のめまいがすべてメニエール症候群に入れられてしまっていたため、東京脳神経センターの松井医師は十数年前から「メニエール症候群という病気は存在しない」と言い続け、耳鼻科の先生方も、実体のないメニエール症候群という言葉は最近では使わなくなりました。メニエール症候群がどのような病気かと尋ねても、正確な答えが出せません。

首の筋肉が原因のめまい(頚性めまい)は、じつは非常に多いのですが、このことは耳鼻科の先生方にあまり知られていません。それは首の筋肉が耳鼻科の守備範囲ではないためです。耳鼻科で治療を受けてめまいが治らなかった人が、個人差はありますが松井医師の治療でおよそ9割以上改善しています。

めまいの多くは「首の筋肉が原因である」と言っても、あながち言いすぎではありません。これは治療の実績が示しています。

頚筋症候群(首こり病)は、メニエール病に症状が似ているのでメニエール病や良性発作性頭位めまい症と診断されるケールが良くあります。メニエール病と言われて治療したけれど治らず、松井医師が診察した結果、頚筋症候群つまり首こり病だった、という方はたくさんいます。

めまいは、まず、首の筋肉を疑ってみることも必要でしょう。めまいは、頚筋症候群のなかでも3大症状のひとつに数えられます。

とくに、外傷でむち打ちになったことのある場合は、めまいが強く現れることがあります。そのような時には、首の筋肉のこり(首こり)を疑ってみるべきだと思います。

また、めまいがあると「吐き気」(問診表7番)をともなうことがあります。吐き気は、めまいのほか、頭痛や、自律神経失調症による胃腸の運動障害でも見られる随伴症状のひとつです。

(問診表解説)「首こり」症状のチェックポイント解説-1