不定愁訴( 自律神経失調症 )は、 なぜ女性に多いのか?

女性は首の筋肉が弱い。

頭の重さは男女でそれほど違いはありません。そのため、男性に比べて首の筋肉の量が少ない女性は、頭を支えているのが大変で、どうしても首の筋肉にこりを招きやすくなります。これが「首こり」のリスクです。

とりわけ、首が細くて長く、なで肩の女性は、見た目はとてもスマートで優雅に感じられるのですが、一方では首に大きな負担がかかっています。

さて、頚椎は7つの骨が重なってできています。通常、レントゲン検査で側面から頚部を撮ると、筋肉の発達している男性なら、筋肉に覆われているので、上からだいたい5つの頚椎までしか見えません。

しかし、ほとんどの女性では7つの頚椎全てが見えます。女性で肩と首の筋肉の弱い人は、7つの頚椎のほかに、さらに、胸椎の上から3つの骨が、なかには4つの骨が見える人もいます。一般的に、筋肉が細いのが女性の運動器の特徴ですが、首にもあてはまります。

女性(上画像)の中にはこのように首・肩の筋肉が弱いため、第3胸椎まで見える人がいます。このような方は、頚性神経筋症候群のリスクが高いと言えます(上から10個の脊椎が見えています)。男性(下画像)で筋肉が発達している人は、この半分の5つしか見えません(写真では6番目の頚椎まで見えています)。

こうしたことから、首こり病は、美人病と言いかえることもできそうです。つまり筋肉量の少ない細い首・・・竹久夢二の絵にある長く細い首の女性。首の細い、モデル体型の方が“首こり”になりやすい、という意味です。しかし近頃は若い男性の首こり患者も多く、その多くが筋肉量少なめの細身の男性です。

さて、頭の重量は、成人でおよそ6~7キログラムです。これはボーリングの13オンスのボールに匹敵する重さです。この、ずっしりとした重い頭を、前後左右に動かし支えているのが、首の筋肉と頚椎です。

しかし、前傾姿勢などで長時間、首を下向きに固定し続けたり、首を酷使していると、首にこりが生じます。これが「首こり」あるいは「スマホ首」と呼ばれるものです。こうして首のひとつひとつの筋肉が硬直して硬くなってくると、自律神経に影響が出て、不定愁訴( 自律神経失調症 )の原因となります。

働く女性の職場環境にも影響する

それでは、次に職場の環境に目を向けてみましょう。

職場の室温(電車なども)は、スーツ姿でちょうどいい温度に設定されているところがまだまだ多いのではないでしょうか。また、夏場、クールビズが施行されていて、薄着になっているところに、エアコンの冷気が当たります。

男性はクールビズでノーネクタイではありますが、ワイシャツの襟で首は守られています。しかし女性は襟なしのスタイルで、首をむき出しにしている人がとても多く、男性に比べて多くの女性の首はまったくの無防備状態です。

人の体で、いつも外気に触れているのは顔と首ですが、首は冷やすと自律神経失調の異常を起こします。顔は冷えても、問題を起こすことはほとんどありません。だからこそ、無防備な首にスカーフなどを巻いて冷やさないことが大切です。

首の筋肉は風邪とも密接な関係があります。首を冷やすと、昔から“万病の元”と言われている風邪をひきやすくなります。

女性がオフィスで、よくひざ掛けや腰にショールを巻いている姿を見かけます。本当は首や肩も冷気から守っていただきたいものです。首の冷えは血行を悪くしてこりを定着させてしまいます。

今やパソコンのないオフィスは考えられません。しかし、パソコンに一日中向かっていると、首や肩、腕の疲れから頭痛を訴えたり、目の痛み、閃光を覚えたりといった複合症状を起こすことがあります。これを放置しておくと、首のこり(首こり)が不定愁訴の原因となりますので、早めに対処するようにしましょう。

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首こり・自律神経失調症よりも危険なケース
■首こりと不定愁訴


実は恐ろしい「スマホ首」の記事が、 2019年12月23日の読売新聞(西部版)朝刊に 掲載されました。

読売新聞(西部版)12月23日(月)朝刊に、ネッククリニック福岡で診察にあたっている松井医師の記事が掲載されました。記事のテーマは近年注目を集めている“スマホ首”です。

首こり博士として知られる松井孝嘉 医師は、約40年にわたり原因不明の体調不良の原因となる“頚筋”の治療や研究を続け、首の筋肉の凝りが自律神経の失調を引き起こし、さまざまな体調不良を発症させることを突き止めました。

これを頚性神経筋症候群(首こりにより発症する病)と命名し、近年ではスマホにより長時間下向きに首が固定されることで首こり病を発症することから「スマホ首」とも呼ばれ、話題になっています。

このスマホ首(首こり病)ですが、慢性疲労、うつ、パニック障害、めまい、動悸、冷えのぼせなど、様々な体調不良ばかりか、自殺念慮の引き金にもなり得るということが臨床結果から見えてきています。

スマホと自殺の関係ですが、アメリカでは2010年から2015年までに中高生の自殺率が31%上昇し、女子では65%上昇しました。2010年は「スマホが普及した時期とちょうど一致する」ため、スマホとの関連性をサンディエゴ州立大学のJean Twenge教授のグループが調査・研究結果を実施しています。

それによると、スマホ使用によって「うつ症状」が急激に上昇するばかりか、自殺念慮は、スマホを使用する時間が1日当たり1時間未満では29%2時間だと33%、5時間以上になると48%に上昇しています。

この研究結果は2017年末にワシントンポストの記事にもなり、2018年にはアップル社の大株主が株主総会でスマホによる対策を要求。アップル社は、これを了承するという動きもあります。

日本では、今年になって、10代の子どもの自殺率が2010年以降に急上昇しているとの報道がニューズウィークに掲載され、また2019年12月19日のメディアでは「視力1.0未満の小中高生、過去最悪に スマホ影響か」のショッキングな見出しが躍りました。

こうした流れに先んじて、「首こり病」を発見した松井孝嘉 医師は「スマホ首」の危険性に警鐘を鳴らし続けています。※下記一例

2016年/スマホの長時間使用が「うつ」の原因に!?
AERA 2013年/うつ、自殺に至るケースも 恐ろしい「スマホ症候群」
メディカルトリビューン2018年/「スマホ首病」がうつや自殺念慮の一因に?
ヘルスプレス2018年/ スマホの普及で急増の自律神経性うつ 「首こり病」治療で改善する!
BAILA 2019年/その不調、もしかしたら首のせい?世にも恐ろしきスマホ首

今やスマホは人々の暮らしに無くてはならないウェアラブル端末です。だからこそ、上手な付き合い方(使い方)が重要になります。つまり、スマホリテラシーの必要性です。

下向きに固定された首だけではなく、SNSなどスマホからの情報が際限なく取り込まれることで引き起こされる認知症同様の症状「スマホ認知症(情報過多シンドローム)」など、やりすぎることの弊害をしっかりと意識して上手に付き合ってほしいと願っています。

<各地の首こり病専門クリニック>
■ネッククリニック福岡 :092-483-6555
■ネッククリニック大阪 :06-6342-5055
■ネッククリニック名古屋:052-533-9180

(C)東京脳神経センター

首のこり「首こり」が原因でうつを発症!? それが「首から“うつ”(頚性うつ)」

実は、うつ(気分障害)の多くは首・自律神経の治療で 改善させることが可能です。

松井医師は多くの臨床例より、首の筋肉異常によって発症する不定愁訴から「うつ」を発症することを突き止めました。そして、このことを「頚筋性うつ」と呼びました。首の筋肉異常が引き金となる頚筋性うつは「頚性うつ」あるいは「首からうつ」と呼ぶこともできます。

繰り返しになりますが、首の筋肉の異常が原因で不定愁訴(原因不明の体調不良)を発症し、さらに首の筋肉の異常が“うつ”を発症させるという、これまでに誰も想像することもなかったことが現実に起きていました。

うつ症状が出ているところに、周囲の人たちの無理解が重なり、さらにどこの病院に行っても原因がわからず、「異常なし」と言われ、その結果、本人だけが苦しみ自殺志向へと向かわせることもある非常に怖い病気です。

しかもこの「うつ」は、精神疾患の「うつ病」とは全く関係ない病気です。これを従来のうつ病と同じ治療を施しても治るわけがありません。

必要なのは適切な診断・治療

このような不定愁訴があると、女性なら、婦人科を受診して「更年期障害」と言われたり、精神症状が強くて心療内科や精神科を受診した場合には「うつ」や「不安障害」あるいは「適応障害」などの病名を付けられることも少なくありません。

これらの病気の特徴的な症状には、自律神経失調症の症状がいくつも含まれるからです。

同じ理由から最近では、まだ医学的に病気の全体像がはっきりしていない「慢性疲労症候群」や「線維筋痛症」と診断されているケースもあります。

診断名はさておき、患者さんが切に望んでいるのは、一刻も早くつらい症状から解放されること、それだけです。しかし、残念なことに、どこの病院やクリニックで治療を受けても改善せず、当センターを受診する患者さんが後を絶ちません。

なぜ、治療をしても治らない不定愁訴があまりにも多いのでしょうか?その理由のもっとも大きな原因が「首の筋肉の異常」であり、これを正確に診断できるドクターがとても少ないからだと考えています。

さらに言えば、その後の適切な治療が行われていないからなのです。なんだか体調がすぐれず、何をしても改善しないのであれば、首の筋肉の異常を疑ってみてください。そしてそれを作り出しているのは、昔のムチウチ症だったり、日常的な猫背、スマホやデスクワークの際の下向きに固定された首の可能性があります。

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・ その肩こり、もしかしたら首こりかもしれません。

(C)東京脳神経センター

首こりと不定愁訴

動悸、めまい、多汗、不眠、下痢・便秘、ドライアイ・・・つらい症状があるのに、検査をしても異常なし、というケースは少なくありません。こうしたケースでは、検査で異常が認められないため、その症状を緩和する薬の処方だけということが多くなります。

上記のように原因がわからない体調不良を不定愁訴と呼びます。この不定愁訴は広辞苑と医学大辞典にも説明されていますのでご紹介します。

・広 辞 苑:明白な器質的疾患が見られないのに、さまざまな自覚症状を訴える状態。

・医学大事典:自覚症状が一定せず、その時どきによって変化する訴え。動悸、息苦しさ、発汗、頭重、不眠など多種多様であるが、自律神経系が関与する身体的な症状が中心である。幼児期から老年期に至る全ての年齢層にみられるが、初老期(女性では更年期)がいわゆる自律神経失調症にかかりやすいため、特定の病気がなくともしばしば認められる。

そもそも不定愁訴とはどのような状態なのでしょうか?またどういった症状が不定愁訴なのでしょうか?こうした基本的な疑問や、あまり知られていない問題に触れて行きたく思います。

原因不明の病、不定愁訴
頭痛、全身倦怠感(だるい)、慢性疲労(疲れがとれない、疲れやすい)、微熱がある、耳鳴り、めまい、動悸、息切れ、発汗・多汗、冷え性・のぼせ、イライラ、不安感、うつ症状といったさまざまな症状を呈する病気には、神経系、内分泌系の障害や免疫疾患、脳疾患など、重大な病気が存在していることがあります。

繰り返しになってしまいますが、一方でいくら検査をしても、症状の原因となる異常が体の組織や細胞に見つからないことも多いのです。このように、いくつものつらい自覚症状を持ちながら、検査をしてもはっきりとした原因が見つからない症状をまとめて「不定愁訴」と呼んできました。

不定愁訴は“自律神経失調症”の症状です。東京脳神経センターの理事長、松井医師は約30年前に首の筋肉の異常で自律神経失調症を発症することを見つけ、これを「頚筋症候群(首こり)」と呼びました。しかし、その治療法がわからず、試行錯誤の末に2005年、頚筋症候群(首こり)による自律神経失調の症状を改善する有効な治療方法を見つけ出し、完成させるに至っています。

この不定愁訴は、自覚症状があっても、なかなか他の人にわかってもらいにくい、伝えにくい症状であるため、周囲に十分理解してもらえないという特徴があります。そのために、落ち込んだり、ご自身を責めたり、苦悩している方が少なくありません。

あちこちの診療科をめぐったあげく、心の問題だとして、最後にはメンタルクリニックを紹介される方も少なくありません。このような際には、いちど、頚筋症候群(首こり)を疑ってみることをお勧めします。

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■自律神経の機能を検査する 自律神経ドックを開始しました。

自律神経の機能を検査する 自律神経ドックを開始しました。


自律神経というのは、身体の多くの働きをコントロールしています。具体的には、自分の意思にかかわりなく臓器や器官を動かす神経で、たとえば脈拍や血圧、呼吸や消化、体温調節など「生命維持」のために必要な機能を調節しています。

この自律神経が乱れると、以下のような諸症状に悩まされることになりますし、美容や仕事にも差し支えることになります。

たとえば美容面ですと、胃腸機能が十分に働かないと消化吸収が阻害されるうえ、栄養を運ぶ血流も滞ることになり、肌(細胞)の生まれ変わり(ターンオーバー)に必要な材料が十分に運ばれません。そのため肌のみならず髪の美しさが損なわれることになります。

また仕事でも、気分の落ち込みやイライラ、焦燥感などで判断力、コミュニケーション力などが低下することにもなりかねません。

<自律神経の機能異常で発症する諸症状>
・慢性疲労 ・めまい(体が奈落に引き込まれる/ふわふわ感/ふらふら感/周囲が回る) ・うつ、気分障害(やる気が出ない/集中力の低下/イライラ・焦燥感/不安) ・胃部不快感 ・食欲不振 ・下痢/便秘 ・動悸 ・血圧不安定 ・多汗 ・冷え/のぼせ ・体温調節異常 ・ドライマウス ・ドライアイ ・目の奥が痛い ・光がまぶしい ・睡眠障害 など

食の改善、運動などに注意をする方が年々増加していますが、自律神経は生命維持の根本であり、自律神経の健康あってこその食や運動とも言えます。

「自律神経ドック」は、生命活動の原点である最も重要な自律神経機能を検査し、体の状態を把握することができる大切な予防医療です。
◆自律神経ドックのページへ

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首こりの問診表の中で、特に女性に多い症状―3  「頭が痛い・頭が重い」(首から頭痛)

■女性に多い症状3:「頭が痛い・頭が重い(問診表1番)」
頭痛や頭重は、頚筋症候群の患者さん、とくに女性に非常によく見られる症状のひとつです。

とは言っても、発作のように急激に起こる痛みではなく、ほとんど毎日のように、頭が締め付けられるようなジワーッとした痛みや圧迫感が続くのが特徴です。

患者さんによっては「後頭部から首筋にかけて、突っ張った感じの痛み」「鉢巻きで頭を締め付けられるような痛み」などと表現することもあります。あるいは痛みとして感じなくても「なんとなく頭が重い感じ(頭重感)」「頭が雲に覆われたようにボーッとした感じがある」と表現する人もいます。

このような頭痛は、一般には「緊張型頭痛」と呼ばれています。しかし松井医師を筆頭に東京脳神経センターで首こり病・不定愁訴を診療するドクターたちは「頚性頭痛」とも呼んでいます。

なぜなら、患者さんの首や肩、背中の筋肉を調べてみると、とりわけ首の筋肉に著しい“こり”が見られ、これが頭痛の原因になっていると考えられるからです。この頚性頭痛は“首から頭痛”とも呼べるものです。

こうしたケースが非常に多く、いわゆる頭痛(慢性頭痛)のおよそ70%を占めているのが緊張型頭痛と考えられます。これは、首の筋肉の頭半棘筋(とうはんきょくきん)という筋肉を、大後頭神経(だいこうとうしんけい)が貫いていて、頭半棘筋が硬縮すると、大後頭神経を締め付けて頭痛となって現れます。

そこで、頭半棘筋をゆるませる治療をすると頭痛が止まります。

長時間にわたってパソコンや同じ姿勢で作業を続けている人では、夕方になると痛みがひどくなるケースが多いのも、頚性頭痛(首から頭痛)の特徴です。

なお、同じ頭痛でも、ズキンズキンと血管が脈打つような痛みは「片頭痛」と呼び、現在、首のこりと関係ある片頭痛も見つかっています。この片頭痛は血管の拡張が原因とされていますが、そのメカニズムは解明されていません。

片頭痛は女性に多く見られ、子どもや高齢者に見られないのが特徴です。症状を抑えるためには、神経内科などで適切な治療を受ける必要があります。しかし、これは一時の抑えで、根本治療とはいえません。

いっぽうで、首のこりからくる片頭痛も一部に見られることが臨床からわかってきています。

しかし、これまで経験したことがないような激しい頭痛に見舞われた場合は、くも膜下出血など脳の病気が疑われますので、直ちに病院を受診してください。

(問診表解説)「首こり」症状のチェックポイント解説-1

首こりの問診表の中で、特に女性に多い症状―2  「ふらっとする、めまいがある。歩いていたり立っているとき、なんとなく不安定」

前の記事:女性に多い症状―1  「のぼせ、手足の冷え、しびれ」

■女性に多い症状2:「ふらっとする、めまいがある(問診表5番)。歩いていたり立っているとき、なんとなく不安定(問診表6番)」

頚筋症候群(首こり病)の患者さんは振り返ったり、頭の向きを変えようとしたときや、横になっていた姿勢から起き上がろうとしたときなどに「ふらっとする」と訴えるケースが多く見られます。

また、
「いつも船に乗っているようにフラフラする」
雲の上にいるようなフワフワ感がある
「地面が揺れているように感じる」
など、表現は違いますが、めまいや、ふらつきを感じている人が少なくありません。

なかには
「天井がぐるぐる回るように感じる」
「奈落の底に引っ張られていくようだ」
と訴える人もいます。

そういう方が、耳鼻咽喉科を受診すると「メニエール病」や「メニエール症候群」「良性発作性頭位めまい症」などの診断をされることも多いようです。

メニエール病は、理論的には存在する内耳の病気ですが、数は非常に少ないのです。メニエール症候群は、メニエール病に似た病気ということで、一時は「めまい」はほとんどすべてメニエール症候群で片付けられていました。

首の筋肉が原因のめまいがすべてメニエール症候群に入れられてしまっていたため、東京脳神経センターの松井医師は十数年前から「メニエール症候群という病気は存在しない」と言い続け、耳鼻科の先生方も、実体のないメニエール症候群という言葉は最近では使わなくなりました。メニエール症候群がどのような病気かと尋ねても、正確な答えが出せません。

首の筋肉が原因のめまい(頚性めまい)は、じつは非常に多いのですが、このことは耳鼻科の先生方にあまり知られていません。それは首の筋肉が耳鼻科の守備範囲ではないためです。耳鼻科で治療を受けてめまいが治らなかった人が、個人差はありますが松井医師の治療でおよそ9割以上改善しています。

めまいの多くは「首の筋肉が原因である」と言っても、あながち言いすぎではありません。これは治療の実績が示しています。

頚筋症候群(首こり病)は、メニエール病に症状が似ているのでメニエール病や良性発作性頭位めまい症と診断されるケールが良くあります。メニエール病と言われて治療したけれど治らず、松井医師が診察した結果、頚筋症候群つまり首こり病だった、という方はたくさんいます。

めまいは、まず、首の筋肉を疑ってみることも必要でしょう。めまいは、頚筋症候群のなかでも3大症状のひとつに数えられます。

とくに、外傷でむち打ちになったことのある場合は、めまいが強く現れることがあります。そのような時には、首の筋肉のこり(首こり)を疑ってみるべきだと思います。

また、めまいがあると「吐き気」(問診表7番)をともなうことがあります。吐き気は、めまいのほか、頭痛や、自律神経失調症による胃腸の運動障害でも見られる随伴症状のひとつです。

(問診表解説)「首こり」症状のチェックポイント解説-1

首こり・自律神経失調症よりも危険なケース

今回は、首こり・自律神経失調症と同じような症状についてです。

つい先日の事です。慢性疲労、ふらつき、頭痛、痺れなどの症状を伴う患者さんが「自律神経失調・首こりでは・・・」と来院されました。

ところがその方は、MRIの画像診断の結果、脳腫瘍が発見されたのです。このため、担当した脳神経外科医によって次の処置のための手続きが、すぐにその場で手配されました。

ご本人は、首こり病・自律神経失調と思っていたところが脳腫瘍という結果に、20代前半のその方は深刻な表情で医師からの説明を聞いていました。

視覚の異常、頭痛、ふらつきは、首こりだけでなく、脳腫瘍や脳梗塞、脳出血などでも起こります。この方のように、なんだかおかしい・・・もしかしたら首こり・自律神経異常では?・・・そう感じて東京脳神経センターを診察された方で、検査の結果、首こりではない“脳の病気を早期発見”できた、というケースは少なくありません。

検査もせずに、先入観だけで自律神経失調だと決めつけず、その症状の原因はどこにあるのか・・・そのための診察・検査をしっかりとおこないます。

さて、脳腫瘍とは、脳内にできた良性または悪性の増殖組織のことで、頭痛やふらふら感(めまいまたは平衡感覚異常)、うつ症状、集中力低下など、首こり病(自律神経失調)に似たような症状が起こります。

脳には生命維持機能の領域があり、さらに閉鎖された頭蓋内でもあるため、膨張するにしたがって重篤な症状を引き起こすことがあります。

脳腫瘍による頭痛の場合、月日と共に頭痛頻度が頻繁になり、やがては常に続くようになります。横になると頭痛が悪化することも多く、睡眠中に頭痛で眼が覚めるというケースも見られます。

また脳腫瘍の初期症状では、精神症状として、抑うつ、気分障害、不安感、思考力低下などが突然起こることがあります。これは認知症にも似ている症状で、ご家族が早期認知症(MCI)を心配して本人を診察に連れてくるケースも見られます。

別の記事で、天野医師が「情報過多シンドロームによるオーバーフロー認知症」に警鐘をならしていることをご紹介しましたが、身体検査、脳波測定など脳の検査、MRIなど脳の画像診断、MMSEなどのスクリーニング検査を実施して、その原因がほんとうに認知症なのか、それとも上記のような別の原因が隠れているのかをしっかりと突き止めます。

頭痛、めまい、うつ・気分障害などの症状には、この患者さんのように、首こり病や自律神経失調とは別の原因が隠されていることも少なくありませんので注意してください。

<首こり(首こり病)のおもな症状とは> “首こり”から頭痛、めまい、うつ、自律神経失調症が発症する。

【首こりから不定愁訴へ】
首の筋肉を酷使したり、首にムチウチなどの外傷を受けたりすると、首こりが発生します。

この首こりが、首の中にある神経や血管に悪影響を与えるため、頭痛、めまい、うつ、自律神経失調などの症状が出やすくなります。

自律神経の調子が悪くなると、安静にしていても動悸がしたり、血圧が不安定になったりします。微熱、胃腸障害、ドライアイなども起こります。

また体中がだるくなる、吐き気をもよおす、汗が異常に出る、なんとなく目が見えずらくなる、瞳孔が大きくなって明るいところでも瞳孔が綴じなくなる(まぶしい)、天気が悪くなりはじめると体全体が不調になる、手足が冷え、頭がのぼせて顔が熱くなる、胸が痛くなったり圧迫されたようになる・・・などの症状があらわれます。

これらは、いわゆる「不定愁訴」と言われるもので、以前の“「首こり」症状のチェックポイント解説”記事でご紹介した問診表も、こうした首こり病特有の症状から組み立てています。

その問診表の項目が、首こりによってあらわれる主な症状と言ってもいいかもしれません。

この“首こり”がさらに悪くなると、首の筋肉の異常が原因の「頚性うつ」、「パニック症候群」、「慢性疲労(または慢性疲労症候群)」などの重い症状が出てくる場合があります。


【首の筋肉の異常を治すと・・・】

こうしたさまざまな症状の関連は、これまでの医学ではきちんと理解されていませんでした。

しかし、首の筋肉の異常を治すことで、多くの場合、これらの症状が消えるという臨床的な事実が明らかになりました。

ただし、このような症状は、すべて自律神経失調症、首こり病だとは限りません。下記のような危険なケースもありますので注意が必要です。
■首こり・自律神経失調症よりも危険なケース

【関連記事】
■「首こり」でうつを発症!? それが「首から“うつ”(頚性うつ)」
■ 自律神経の機能を検査する 自律神経ドックを開始しました。

その最新の研究結果として、以前にもご紹介しましたが東京脳神経センターの研究チームによる複数の研究論文(英文)が下記の国際医学ジャーナルに採用されています。もしお時間がございましたら翻訳サイトで日本語に変換してお読みいただければと思います。
◆2020年1月:European Spine Journal
◆2019年6月:BMC Musculoskeletal Disorders

<首の筋肉はとても“こり”やすい> 首の筋肉がこると、神経や血管を圧迫し、不快な症状を発症する。

【首は重い頭を支えている】
人間の頭はLサイズのスイカほどの重さです。その重さは、およそ6キログラムほど。首はこんなに重い頭を支えているため、首の筋肉は、横になっているとき以外はずっと働いています。

それでも均等に使っていれば問題は起きにくいのですが、パソコンに長時間向かったり、スマホやタブレット、読書、調理、ネイルなどなど、下向きに長時間固定される姿勢を続けていると、15分ほどで首の後ろの筋肉が疲労状態になってしまいます。(首の後ろの筋肉は前回の記事に図を掲載しています

この時に首の筋肉の緊張をゆるめて、酸素と栄養を補給すれば、元気な状態に戻りますが、緊張したままだと、“こり”と呼ばれる状態が生じます。これが「首こり」です。

長い間この状態を繰り返していると、筋肉がガチガチになって石のように硬くなってしまいます。

また、首になんらかの外傷が加わった場合も、首の筋肉に異常が起きることが多いようです。

※下記データを東京脳神経センターにて日本語編集
出典:What Texting Does to the Spine|The Atlantic


【首がこると、神経を圧迫する】
前回の記事の首の筋肉の図からもわかるように、首には、たくさんの筋肉があり、頸椎(けいつい)を複雑に包み込んでいます。その筋肉の間に神経が走っています。

とくに首の後ろの筋肉の隙間には、頭痛(後頭神経痛・緊張型頭痛)を生じさせる大後頭神経が走っていて、首の筋肉の周辺には、脳や脊髄から出た神経の末梢部が縦横に分布しています。

そこで、首の筋肉が異常にこってしまうと、周辺の神経や血管を圧迫し、頭痛や自律神経の失調、それにともなうさまざまな不調などの原因になると考えられるわけです。この首こりによって、内分泌や自律機能の調節を行う総合中枢である脳の視床下部の関与の可能性もあります。

日頃より、頭を長時間下向きに固定しない、頭を前に突き出したりせず、バランスの良い姿勢を心がけることが、首こりの予防には何より大切です。また適時、首の後ろの筋肉をゆるめてあげるなど、こうした些細に思えるような取り組みが、重大な体調不良からあなたを守ることになります。

※首こり治療について :東京脳神経センター 首こり病について