大切なことですので繰り返しになりますが、脳卒中の治療は一刻を争います。顔や腕が麻痺している、しゃべりにくい、ろれつが回らないといった症状が現れたら、まず発症時刻を確認して、迷わず救急車を呼びましょう。
これまでの記事でも書いていますが、脳卒中の症状が現れたら一刻も早く治療を受ける必要があります。ですが時間との勝負にも関わらず、ご本人やご家族が意外にも慌てていないケースが多々見られます。
当センターにこうした症状で電話問い合わせが来るケースもあります。そのような際には念のためすぐに救急要請(119番あるいは救急要請相談#7119)をアドバイスさせていただいています。
しかし驚くことは、このような症状が出ても以外にもご家族やご本人は慌てていないということです。昨日から症状が出ていて・・・と電話が来ることもあります。万が一のことがあれば取り返しのつかないことにもなりかねません。
前回までの記事では「ブレインアタック5つの症状」として
1:半身の運 動・感覚障害(力が入らない、しびれる)
2:言葉がうまくしゃべれない
3:片目が急に見えなくなる、見える範囲が狭くなる
4:めまい・ふらつき
5:激しい頭痛
と紹介させていただいていましたが、わかりやすくまとめているのが「ファスト(FAST)」という合言葉です。
【1】Face(フェイス)
顔の麻痺が起こると、顔の片側が下がったり、ゆがんだりします。うまく笑えなくなります。
【2】Arm(アーム)
腕の麻痺が起こると、片腕がだらりと下がったままになり、両腕を同じように上げることができません。
【3】Speech(スピーチ)
ろれつが回らない、思うように喋れないといった症状が現れます。
【4】Time(タイム)
時間が勝負、できるだけ早く救急要請をしましょう。
顔(Face)、腕(Arm)、喋る(Speech)そしてT(Time)で「FAST(ファスト)」です。ぜひ覚えておきましょう。
さて救急要請の場合「何時に発症したのか」という情報があると、治療がスムーズに行えます。慌てていても必ず時間を確認し、一刻も早く治療を開始しましょう。
救急車を呼ぼうか迷った場合は、「#7119」へ。救急相談センターの相談医・看護師さんが判断し、緊急性がある場合は救急車を、緊急性が無い場合には最適な医療機関を案内してくれますので、ぜひ「#7119」の番号をメモしておくことをおすすめします。ただしこの番号は都内はじめ全国の自治体の3割ほどしか実施していないため、ご自身の住んでいる地域の救急相談センターの番号を事前に確認しましょう。
また、発症してしまう前に、日頃より自分の状態を把握して予防するためにも脳ドックは役立ちます。脳梗塞になるリスク検査や主要ながん発見に有効な腫瘍マーカーなども手軽に組み合わせることもできます。