今回は問診と症状との関係性についてのお話、その2となります。
問診表は、患者さんの訴える症状が、首疲労からきているものなのかどうかを見極めるためのものです。首こり病(自律神経異常)の問診表には30項目あるのですが、それぞれの項目について、前回に引き続いてご説明させていただきます。1回目では問診表の1~3まで解説させていただきました。
2回目の今回は、問診表の4から解説させていただきます。問診表の項目については前回の記事、あるいは東京脳神経センターの問診表をご覧ください。 それでは、問診表の症状チェックポイント解説その2に入りたいと思います。
【首こり度 問診表の症状チェックポイント解説-2】
4: 風邪をひきやすい。風邪気味のことが多い。
これは、首の筋肉の異常により、自律神経のバランスが崩れるために出る症状と考えられます。すぐに体調を崩す方は、この項目をカウントしてください。
5: めまいがある。天井・外界がまわった。
6: ふわふわ感。ふらふら感。なんとなく不安定。
めまいの原因が首こりの場合
・天井がぐるぐるまわる
・奈落に引き込まれるような感覚がある
・いつも船に乗っているようにふらふらする
・地面が揺れているようだ
などのタイプのめまいがあらわれます。病院でメニエール症候群などと診断される人も多いようです。
7: 吐き気がある。食欲不振。胃痛不快感。飲み込みにくい。
内科検診を受けても異常が見つからない場合は、首こり病からくる吐き気である可能性があります。
8: 夜、寝つきが悪い。目覚めることが多い。
首の痛みで寝つきが悪くなったり、睡眠中に痛みで目が覚めたりすることがある人は、この項目をカウントしてください。
9: 血圧が不安定である。血圧が200前後になる。
10: 暖かいところ、寒いところに長くいられない。
これらも、自律神経の異常によって起こります。首こりの場合、血圧が高い時と低い時の上下幅が大きくなりすぎることが多くあります。また、暖かいところにいると気分が悪くなったり、寒いところから暖かいところに行くと顔が赤くなってなかなか戻らないという場合もあります。
11: 汗が出やすい。汗が出にくい。
普通にしていても汗がだらだら出てくるような人は、この項目をカウントしてください。夜間に何度も下着を替える人もいます。
12: 静かにしているのに心臓がドキドキする。急に脈が速くなる。
「動悸(どうき)」「心悸亢進(しんきこうしん)」とよばれる症状で、自律神経の異常が原因です。体を動かしているわけでも、心臓が悪いわけでもないのに急に脈が速くなるようなら、首こり病の可能性があります。
13: 目が見えにくい。像がぼやける。
14: 目が疲れやすい。目が痛い。
15: まぶしい。目を開けていられない。
首の筋肉を傷めることで自律神経に異常が起き、瞳孔が開きっぱなしになるために出てくる症状です。
16: 目が乾燥する。涙が出すぎる。
17: 口が乾く、つばが出ない。つばが多い。
目薬をさして目を休めても「ドライアイ」の症状が良くならない場合、首の治療で完治する可能性があります。涙が出すぎる人もいます。また、つばが出すぎたり、出なくて口の中が乾燥する人もいます。
18: 微熱が出る。その原因が不明である。(37度台、38度台になる場合も含む)
慢性的に微熱があるのに、血液検査などあらゆる検査を受けても異常がない場合、首の異常が原因であることがあります。
19: 下痢をしやすい。便秘・腹痛などの胃腸症状がある。
胃腸の働きを司っているのも自律神経です。自律神経の異常から胃腸が正常に機能しなくなり、これらの症状が出ることがあります。
20: すぐ横になりたくなる。昼間から横になっている。
これは、首こり病の最大の特徴です。首の筋肉が疲労して頭を支えられなくなっているため、横になって首を頭の重みから解放するとラクになるためです。
21: 疲れやすい(全身倦怠)。全身がだるい。
首こり病で自律神経の失調が起こると、体中の調節機能の働きが悪くなり、その結果、全身に倦怠感が生じます。
22: 何もする気が起きない。意欲、気力がない。
24: 気分が落ち込む。気が滅入る。
25: ひとつのことに集中できない。
26: わけもなく不安だ。いつも不安感がある。
27: イライラしている。焦燥感がある。
28: 根気がなく、仕事や勉強を続けられない
比較的軽度の25、27、28を放置していると、22、24、26などの重い症状に発展することが多いようです。「認知症では・・・」と心配している人も、首こり病の場合があります。
23: 天候悪化の前日、症状が強くなる。天気予報がよく当たる。
これは、気圧が筋肉の状態に影響するために起こると考えられます。気圧が下がり始めると症状が悪化し、雨が降って気圧が低いときでも、気圧が一定であれば症状の悪化は止まることが多いのです。
29: 頭がのぼせる。手足が冷たい。しびれる。
「冷え性」は、自律神経の失調による典型的な症状です。上半身には「ほてり」や「のぼせ」があるというケースも多く見られます。
30: 胸部が痛い。胸部圧迫感がある。胸がしびれる。
心臓に異常がないのに、こうした症状が見られる場合、首の異常が原因であることが多くあります。「喉がつまっているような感覚がある」という患者さんもおられます。
みなさんは、前回と今回の問診表で、いくつ当てはまったでしょうか?
こうした原因不明の体調不良は不定愁訴と呼ばれているものです。もしも5項目以上当てはまった人は、首の筋肉の異常により起こる首こり病(頚性神経筋症候群)の可能性がありますので、いちど診察することをおすすめします。
・4項目以下の人・・・・・・特に問題なし
・5~10項目の人 ・・・・・・軽症
・11~17項目の人 ・・・・・中症
・18項目以上の人 ・・・・・重症
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